Love again －愛を、もう一度－【T.O】 (ページ18)

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どこかで見た事のある顔、だがどこで見たのかは全く思い出せない。

高校生の頃、対バンした人とかだろうか。

『あ、マル～』

という声が私の背後から聞こえて、私の横をギターを背負った人が通る。

ベースを背負っている人が “マル” らしい。

ベース、マル……………

やはり、どこかでライブを見ている。
きっと自分がバンドをしていた頃に対バンした人だな、そんなに深く関わった訳では無いだろう、と思っていた矢先。

ふとギターを背負った人がこちらを向き、お互いに目を見開く。

章大｢あれ、Aちゃんや！｣

A｢安田先輩…！？｣

私に気づいた安田先輩は、トコトコとこちらに近づく。

章大｢ドラム、続けてたん？｣

と、私がドラムスティックを握っているのを見て問いかけてくる。

A｢あ、いや、久々に叩きたいなーと思い立って、とりあえずスティックだけ買おうかなーなんて思って……｣

章大｢そうなんや～、あ、あそこにおるのは丸山隆平って言ってな、大学のサークルでバンド組んでたやつやねん。Aちゃんもライブ来たこと何回かあったやんな？｣

そう言われて、私は納得が行く。
ああ、あの人の既視感はそういうことだったのかと。

隆平｢章ちゃん、受付できたで～！あっ、どうも、丸山隆平です～｣

A｢あ、大崎Aです…｣

そう自己紹介をすると、じゃあ先に入ってるわ～と丸山さんは明るくスキップしながらスタジオに向かっていった。

だいぶ変な人かもしれない。

A｢バンド、続けてるんですね｣

章大｢あ～趣味程度になあ、たま～にライブやったりもするんやけどね、色々あって5人組になってん。
あ、大倉はまだおるで｣

A｢そう、ですか………｣

章大｢今度ライブやるんよ、気が向いたらおいでな！じゃあ俺もそろそろスタジオ行くな～｣

そう言って安田先輩はニッコリ笑ってスタジオへ行った。

気が向いたら。

ライブに行くのは何年ぶりだろう。まだ行くと決まった訳では無いが、久々に大倉先輩がドラムを叩く姿が見たいと思った。

私は、ドラムスティックを握りしめて帰宅をした。