school festival/zm ページ10
よく食べてるなぁ…自分の隣を歩くゾムを盗み見ればどこで買ってきたのか、両手に持つ袋の中には食べ物がたくさん入ってる。
唐揚げに始まり、ドーナツ、ピザ、焼きそばにたこ焼き…なんでそんな炭水化物ばっかりなのさ。
「ん？食う？美味いで」
「んーじゃぁその唐揚げ一つちょうだい」
「熱いで、気ぃつけや」
串に刺さった唐揚げを一つ貰えばゾムの言う通り熱い。でもじわりと出てくる肉汁は文化祭の域を超えていそうなくらい美味しい。
「美味いやろ？」
「美味しいよ、美味しいけどゾムが威張ることじゃ無いでしょ?」
「俺が選んだんやから俺のおかげやろ」
そう言って今度はミニサイズのドーナツを取り出して口に入れている。
そういえば、と思ってゾムを呼ぶ。
「ゾムのクラスって何やってるの？」
「あぁ、つまらん掲示物や。そう言うAのクラスは何やってるん？」
「私のクラスも似たようなもんだよ」
演劇やるとか出店やるとか最後まであーだこーだ言ってたけど、演劇も衣装とか台本とかあるし、出店にしたって色々規約があるから一番簡単で用意するものが少ない掲示物系で落ち着いた。
そのおかげでこうやって回れるんだから良かったよ。
「さーて、次は何食うかなぁ」
「まだ食べんの！？いつの間にか全部無くなってるし！」
「せっかくの文化祭なんやから食べないと損やん」
普段から食う男が何を言うか。
でも食べ物食べて幸せそうなゾムを見てるとこっちも嬉しくなるから、まぁいいか。
「Aー、おいてくでー」
「今行くー！」
ゾムに呼ばれて、いつの間にか置いてかれてたのに気付いて慌てて隣に戻る。
離れないように、と手を繋いでくれたゾムを見上げれば彼は赤くなった顔を隠すようにパーカーのフードを被ったのを見て吹きだした私はきっと悪くない、はず。
＿＿＿＿＿
カノン
終わり←2
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