どうしようもなく好きなの【Kaito.N】

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休憩時間。元太に連れられたのは事務所近くのよく行くコーヒーショップ。


夕方過ぎの時間で空いているのか店内はがらりとしていた。


テーブルを挟んで向かいに座った元太はコーラを飲みながらしばらく窓の外を行き交う人々を目で追っていた。


男女が腕を絡めながら幸せそうに歩く姿を何人も見送る。これからあんな恋人同士になるのかな、可愛いメイクさんと海人。


勝手に想像しては傷ついて、気持ちの整理が全くつかなくて。





海人と2人きりになるのは避けていたし、
目の前にいる海人はなんとなく苛立っていて落ち込む一方であった。





元太が気を遣ってくれているのは全ては私のせい。



海人が不機嫌になって練習に身が入っていないのも私のせい。







みんなに迷惑をかけてばかりだ。





コーヒー、氷溶けるから飲めば、と勧めてくれたのでストローからちゅうと吸えば身体の中も頭の中も冷えてくる。


不意に涙腺を刺激する。


ぽろぽろと流れる涙が練習着の上に染みを作り色を濃くしてゆく。


ゆっくりと近づいた元太の手に頬を撫でられると上を向かされた。

親指で涙の跡をなぞると、少し困った顔を向けていた。





「最近すぐ泣いちゃうね。


ごめんね、俺のせいだよね」



「ちがう」



「俺が、迷惑掛けちゃってるから。Aにも、海人にも」



「元太は違うよ。わたしのせい」







「ねえ、A。



早く、俺のものになればいいのに…」




元太の苦しそうな声が、胸に響いた。






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