どうしようもなく好きなの【Kaito.N】

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Kaito side






松松が入る前、各々のシンメが抜けていったあと、俺たちは結構不安定な時期があった。

このまま続けてもいいものなのか。





ダンスは自分の武器だと磨き続けてきたから、得意だし、好きだから続けてこれた。

歌も好きだけど、しめやちゃか、Aのように凄く上手というわけではなく、少し不安を感じていたんだと思う。




Aとは同じ年齢なのに、俺の一歩も二歩も先に立っていて、なかなか埋まらない距離に一方的に焦りを感じでいた。

それは技術の距離なのか、友達としての心の距離なのか、今はよく分からないけれど。






「お疲れ」


「お疲れ様」




ボーカル練習でAと俺が別室に呼ばれ、課題曲や自由曲など何時間か歌った後30分の休憩に入った。


遅れて部屋から出てきたAが見えたのでお疲れと声をかけると、お疲れ様と横をすっと通り抜けて先を歩いてしまった。


そんな様に見えた。


なんだよ、感じ悪い。



もう少しさ、話し続けてもいいんじゃないの。
そうやって何でも当たりたくなってしまう子供な俺。




残った部屋でボーカルの先生たちがAを褒めていたのが少しだけ聞こえた。






うちのボーカルたちは比較的声が高く、繊細な音色でしっとりと歌い上げる声が多い中で、
Aの女性特有の柔らかい高音は周りと合わせることもできれば、男に混じったダンスに違和感がないように少し低音のパワフルでハスキーな声も出せたりする。

変幻自在の歌声ってこういうことを言うんだ。と。









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