【歌い手】FANCY:YOU!!＋【めいちゃん】 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:15,540 hit

■lacto ice. ページ6

｢あついよぉ〜…。｣

可愛らしいドレッサーやふわふわのラグ。シェルフに並べられた化粧品や香水瓶はもはやインテリアとしても機能していて、THE・女子の部屋って感じ。

しかしこの部屋、なんと驚愕の室温30℃。

｢だから言ったでしょ、早めにエアコン点検してもらいなって。｣
｢ご最もです…。｣

夏場は業者さんも引っ張りだこで中々来てくんないんだから一回見てもらえば？と言ったそばからコレ。普段しっかりしてるのにたまに適当なんだよね、A。

首振り扇風機の動きに合わせてゆらゆら揺れているAに(首振りやめればいいのに…。)と思わないことも無かったけど、おバカでかわいいのでそのままにしておく。

｢めいちゃんち行こうよ。｣
｢さっきから言ってんじゃんそうやって！早く着替えて！｣
｢待って、この上から布着るの無理なんだけど！｣
｢いやその格好で外出すわけないよね？｣

キャミソール1枚で駄々をこねるAに頭を抱える。目に入れても痛くない彼女の言うことはなるべく聞いてあげたいけど、流石にそれだけは無理。当たり前だよ。

絶対に引かないという意思が伝わったのか、しぶしぶと言った様子で扇風機の前から立ち退いた。なんで？おかしくない？

｢めいちゃーん！｣
｢もーー！次はなに！｣
｢パピコ半分こしよー。｣

やっと着替えるかと思ったのに彼女が持ってきたのはヒエヒエのパピコ。俺としては先に準備して欲しいんだけど、熱い部屋で食べるアイスの魅力に逆らえるわけがなくて、大人しく半分に割ってあげた。

最近というか、付き合ってから？分かりやすく甘えてくれるようになった気がする。基本なんでも1人でしちゃうAの小さなわがままひとつくらい痛くも痒くもないんだけど。むしろ嬉しいまである。

｢はい、Aはこっちね。｣

そういって差し出したのは、パピコの先端部分のちっちゃいの。俺はこれも食べる派。

｢ちょっと！なんでよ！｣
｢先準備したら全部あげる。｣
｢溶けるじゃん！｣
｢言ってる間に溶けてってるよぉ〜？｣

大げさな悲鳴をあげて一目散にクローゼットへ走り寄る姿に笑いがとまらない。独り占めした扇風機を浴びながら食べるパピコのなんと美味なことか。
横目で恨めしそうに睨まれてるけど、全然怖くないからね、それ。