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□え!?(2) ページ15

「てことなんで、今日は帰ってください。」
「んん〜?」
「いやんんじゃなくて。」

さっきから一生あの押し問答してる。
お客さんにお茶をお出しすべくキッチンに引っ込んだ私はおもむろにリビングへ声をかけた。


「金城さんたち、何飲みますー?」
「なぁんでAはもてなそうとしてんの!?」
「おかまいなくー!」
「お構いないなら帰れって!」
「すみません!ありがとうございます!」

こういうときってとりあえず無難にコーヒーなのかな?お客さんを招いたことないから分かんないけど。
この心の中の呟きをめいちゃんが聞いていたら『俺も招いてないんですけど!?』とキレ散らかされそうだな。


「AちゃんAちゃん。」

ひょっこり、あの喧騒の中から抜け出してきた金城さんが顔を覗かせる。

「これ運べばええの?」
「座っててくださいよ、お客さんなんですから。」
「ええねんええねん。押しかけといて客ってのもむず痒いし、これくらいさせてや。」

あ、押しかけた自覚はあるんだ…。


「いやーそれにしてもまさかAちゃんがねぇ。」
「私もびっくりですよ。どういう繋がりですか?」
「…まあ…ね…。」
「なんで濁すの…?」

眉を動かしながら視線を斜め下へおろす姿は心なしか気まずそうだった。
めいちゃんの知り合いってくらいだから金城さんもアーティスト系のお仕事されてるんだろうけど、さっきの出来事といいほんとにYouTuberだったりする?


「違ってたらごめんな。けど、あんとき相談してきた相手ってもしかしてめいちゃん?」

コーヒーも淹れ終わって、食器の擦れる音が響く。
念の為余分に買っておいた好きなブランドのマグカップ、日の目を浴びることができてよかったなあ。

「…お恥ずかしながら。」

大事なものを無くしそうになったあの日。一番最初に励ましてくれて、背中を押してくれたのがこの人だった。

そうかぁ、と感慨深そうに呟いて、ひたすらに優しい笑顔を浮かべる。見ているこっちが元気をもらえるような、お日様みたいなこの笑い方が私は大好きなのだ。


「めいちゃんのことよろしく頼むわ。変なやつやけど。」
「なんか金城さん、お父さんみたい。」
「アハハ!あれはともかく、Aちゃんのことは娘みたく思うとるよ。」

地元を離れてひとり東京へ出てきたこともあってか、その一言で思わず涙腺が崩壊しそうになってしまった。危ない危ない。

□本人には言いませんけど→←□え!?



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作者名: | 作成日時:2022年8月29日 23時

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