□24 ページ31
「お待たせいたしました。」
そう言ってテーブルに並べられたのは、ホットサンドのセットメニューとフレンチトーストのプレート。
前菜の生ハムサラダはとうに取り分け終わっているので、そのお皿を渡して追加でサイドメニューを注文する。
「ん゛〜〜まぁ!」
ホットサンドはめいちゃんの。器用にこぼさず食べるものだからつい関心してしまう。
「美味しそうに食べるね。」
「だぁってめーっちゃ美味いんだもん!」
「こっち1口いる?」
「いる!」
フルーツとクリームがたっぷり載ったトーストを切り分けて、しばらく逡巡したのちに差し出した。
「A、大胆…。」
「…いらないなら食べちゃお。」
「うそうそ!ちょーだい!」
甘いものがあんまり得意じゃないめいちゃんはワンプレート丸々は食べられないので、大抵連れの人にこうやって恵んでもらうんだって。賢い生き方だ。
お目当てのカフェは日当たり良好、開放感バッチリ、それからインテリアがお洒落ということもあって、店内は若いカップルが大半を占めていた。
「AA、」
「なに?」
「あーん!」
齧られていない2つ目のホットサンドがいつの間にか眼前に迫っている。
…さっきのお返しだろうか。
「…恥ずかしいよ。」
「えぇ?さっきのが恥ずかしくない?」
「や、さっきのは、」
「だーいじょうぶ。だぁれも見てないよ、ほら。」
促されるまま周囲を見てみた。
みんな目の前に座る恋人にお熱で、まわりのお客さんどころか店員さんが見えているかも怪しいくらい、白昼堂々イチャついている。
「たしかに…?」
「ね?これめっちゃ美味しかったから食べて欲しいな!」
「うーん。」
迷って迷って、1口かぶりついた。
だってあんなに美味しそうに食べていたんだし気になるじゃん?
「ねね。」
「ん〜?」
「俺たちさ、恋人みたいに見えてんのかな?まわりから。」
長めの前髪が空調でチラチラ揺れている。頬杖をついて、切れ長の目をキュッと細めて悪戯っぽく笑うめいちゃん。いつもの可愛らしい笑顔とは違っていて、否応なく鼓動が早くなっていく。
「今日のリップかわいいね。オレンジ?」
「…めいちゃんのタラシ。」
「えー!?ひーど!!」
顔を逸らして手で扇ぐ私に、満足そうに笑みを深めるのが横目で分かる。
貴方のカラーに合わせたんだよって言ったら、ちょっとは動揺してくれるのかな?
267人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントとお祝いの言葉ありがとうございます!お褒めの言葉もとても嬉しいです…!番外編の方もがんばりますので、ぜひよろしくお願いします! (2022年8月27日 10時) (レス) id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵なお話にドキドキワクワクしまくりました!ぜひまた🐏ちゃんの小説をお願いします!!!Twitterもこれからも楽しく拝見させていただきます!本当にお疲れ様でした!!! (2022年8月26日 19時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - 涼風さん» コメントありがとうございます!あれって地域差によるものだったんですね…笑これからも自分のペースで頑張ります! (2022年8月11日 18時) (レス) @page30 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - ゴミステーションでもしや住んでる地域一緒なのでは…!?と思ってしまいました笑笑内容もとても面白いので、これからも更新楽しみにしています!!!!無理なく頑張ってください😚♡ (2022年8月11日 0時) (レス) @page28 id: d41656e1e9 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» コメントありがとうございます!少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。更新も自分ペースでボチボチ頑張ります! (2022年8月7日 20時) (レス) @page23 id: e8b342a20d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:哀 | 作成日時:2022年7月23日 10時