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「そうじゃないそうじゃない。表に出さずとも決める意思があるのは分かっている。トスの位置だとかスイングの角度、回転だとかそう言う技術面だ」
太一が考えていることは伝わっていたようで笑いながら訂正されたことに少し安堵し、落ち着いてもう一度考え直す。

“あれ?俺、いつもスパイクの時何を考えているっけ”
今までは、スポ少でも、中学の部活でもセッターが秀でて凄い、というわけでもなく、とりあえずトスに合わせて打つ、というスパイクを繰り返していた太一にとって、齋藤の質問は完全に盲点だった。

太一が何も言えずに黙り込むと斎藤は笑って

「お前と覚や獅音の違いはそこだよ」
と言った。

「覚は、クイックはネットに近くて流れている方が得意だ。それで獅音は短くて若干ネットから離れてゆとりのある内回転のトスが得意。それを本人達も自覚しているし、英太も把握していてここぞと言う時は彼らが1番得意なトスをあげる」
その瞬間太一の中で今までのコンビミスや先輩達の不満、そして白布の不備に全て合点がいった。

白布は今までの練習で、牛島にはどういうトスがいいのか事細かく聞くものの、他の選手には近いですか?離れていますか?高いですか?低いですか?という、瞬間的な指示しか仰がなかった。

「得意なトスが分からないなら英太と練習するといい。あいつは凄く聡いから得意なトスをすぐ見つけてくれるよ。それに面倒見もいいしな」
太一は直ぐに立ち上がり、失礼します、と教官室を後にした。

向かうは最近瀬見が1人でサーブを磨いている第2体育館。

勢いよく扉を開けると、瀬見と白布が驚いたようにこちらを見つめた。

「今日、賢二郎とも話したよ。それと英太にも少し。今頃英太のことだし、賢二郎の話でも聞いてるんじゃないかな」
斎藤の予言通り、2人は座り込んでホワイトボードに何かを書き込みながら話していたようだった。

「おう!太一そんな急いでどうしたんだ?」
瀬見が太一に笑いながら声をかける。

とてもポジションを奪われた後輩と話していたとは思えない温かい笑顔に太一は安心して、斎藤に言われたことを話す。

「お、なら丁度いいや。白布、今のうちに獅音と覚。あとは先輩にも得意なトスを聞いてこい。それがお前の最初の課題だ。最初は先輩、それから獅音。最後に覚の順番で行くといい。」
白布は何も言わずに瀬見にぺこりとお辞儀をして体育館を後にした。

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設定タグ:ハイキュー!! , 川西太一 , 白鳥沢音駒   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:流輝星 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Ruachoce  
作成日時:2019年2月18日 22時

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