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佐「なぁ、北原。勇人さんと何があった?」
ドキリとした。
何かどころじゃない。あり過ぎだ。
それに複雑過ぎるし、話していい内容なんかじゃない。
『...何もありませんよ?
それより静かでいいお店ですね、ここ!』
私は話題を逸らそうとしたが、叶わなかった。
佐「はぁ。
どうせつくならもっとマシな嘘をつけよな〜。
お前、分かりやすすぎ。」
何も言えなかった。
佐「いつもなら嬉しそうにカメラもって写真撮ってる奴が辛そうな顔してレンズ覗き込んでるし、
練習中でも試合中でも頼りがいあるキャプテンがここ最近頼りづらいキャプテンになってるし...
何があったんだよ、お前ら二人。」
佐藤さんにはバレバレだった。
隠し通せないことを悟った私は正直に話すことにした。
佐「へ〜。案外モテんのな、お前。」
『そんな呑気な話じゃないですよ!!
.....私、どうしたらいいんですか...?』
佐「そんなんお前が決めるしかないだろ」
『でも...』
佐「決められませんってか?」
『...』
佐「図星だな」
『...すみません』
佐「勇人さんのしたことは確かに許し難いけど、
1番悪いのはお前なんじゃない?」
『え?』
佐「だってそうだろ?
中島さんと付き合ってるのに
勇人さんに揺らいでるわけだし。
だいたい、本当に好きならちゃんと拒めたろ?」
『...』
佐「はぁ。この際だからはっきり言うけど、
お前は自分を守るのに必死で
周りの奴に気を使わせて
1番に思ってくれてる中島さんと勇人さんを傷付けてるだけだからな。」
佐藤さんの言葉が胸に刺さった。
確かにそうだ。
私は卓さんや勇人さんのことを考えるフリをして
本当は自分のことを守っていたのかもしれない。
佐「はっきり決めないと二人に失礼だぞ」
『...はい』
佐「そんでもって誠司さん。
あの人もお前のこと心配してたぞ?
カメラ持ってんのに元気がないって。」
大城さんも似たようなことを言っていた。
周りに気を使わせてばかりだ。
佐「自業自得だな。中途半端でいた罰だな。」
『...すみません』
佐藤さんはふぅと一息つくと口を開いた。
佐「まぁ、いいんじゃん?」
『え?』
佐「しっかり悩んで答えを出せば。
二人ともお前のこと好きなわけで、答えを待ってる。
お前の出した答えに文句なんか言わないだろ?
中島さんはあんま分かんねぇけど、
少なくとも勇人さんはそうゆう人じゃねぇよ。」
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2018年7月7日 13時