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〜中島卓也 side〜
泣くAを抱きしめながら勇人さんを怒鳴った。
『勇人さん!何したのか分かってるんですか?!』
勇人さんは無口のままで時間だけが過ぎた。
するとAが俺から離れて口を開いた。
「卓さん、勇人さんとは何も無いよ...?」
その言葉を聞いてイラッとして思わずAにも怒鳴ってしまった。
『何も無いわけなか!何も無かった奴の首に痕なんかあるん?!』
「違うの!卓さん話を聞いて!!」
『聞かんくても分かるわ!』
坂「確かに痕は付けたけどその先はしてへんよ」
やっと喋り出したと思ったらくだらん言い訳だった。
『いい加減にして下さい!』
勇人さんの方へ向かおうとするとAに服を掴まれた。
「本当に勇人さんとは何も無いの!
確かに首に痕は付けられたけどその先は何もして無いの!信じて、卓さん!」
信じて?
今更信じられるわけなか。
でも、Aが真っ直ぐな瞳で俺を見つめるから仕方なく信じることにした。
俺はAにさっきまで取材していた部屋に行くように言った。Aは素直に従った。
医務室には俺と勇人さんだけが残った。
『俺、もう、一生勇人さんのこと信じれませんよ』
坂「別にええよ。Aにだけ信じてもらえれば。まぁ、もう無理やけどな。」
『...本当は何したんですか』
坂「...キスと痕は付けた。その先しようとしたら卓が来たし、来んくてもきっと出来んかった。泣いてたし、拒否られたし…」
俺は部屋を出ると同時に勇人さんに声をかけた。
『譲る気なんて微塵もないですし、こんな事する人に負ける気なんてしないです。もうAに近づかないで下さい。』
勇人さんの顔は見ずに部屋を出て、取材をしていた部屋へ向かった。
部屋につくと加藤さんしかいなくてAの行方を聞くとトイレに行ったと教えてくれた。
1番近いトイレに向かう途中ベンチに座ってる人を見つけた。Aだ。
『なんばしよーと』
声をかけるとAは少し驚いたような、怯えたような顔をして答えた。
「あの、ごめんなさい」
『もうええよ。俺はAを信じるし、ずっと不安にさせてきたのは俺やけん』
「...ごめんなさい」
謝り続けるAをそっと抱き締めた。
これから
最初から
またやり直せばいい。
好きなのには変わりないから。
.
.
そう思っていたのに...
俺は知らなかった。
勇人さん以外にAに想いを寄せてる人がいることを。
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作者名:まっちゃ | 作成日時:2018年7月7日 13時