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私は人の出入りがほぼない部屋にこもり、一人泣いていた。

しばらくして足音が聞こえた。
この部屋には入ってこないと思って静かに泣き続けた。
すると、部屋のドアが開かれた。

そこに立っていたのは勇人さんだった。
泣いちゃダメだと思っても心とは反対に涙はどんどん溢れてきた。

『...すみません』

坂「なんで謝るん?泣いたらええやん。
付き合っとる奴のあんな報道目にしたら誰でも傷つくのが当たり前やろ。」

『そんなこと...言わないでください...』

坂「...」

『今...優しくなんてしないでください....
辛くなって、涙止まらなくなりますから...。』

そう告げると勇人さんはゆっくりとこちらへと歩み寄ってきた。
そして優しく抱きしめてきた。

『!!...離して下さい...!』

坂「強がらんでええやん。辛い時くらい人の肩借りて泣いたらええやん。」

『もう、平気ですから...』

坂「嘘つけ。震えとるで。」

拒まなきゃいけない。
この腕を振り払わなきゃいけない。
頭では分かっている。
でも、行動に起こせなかった。

きっと、心の隅で誰かにこうされるのを願っていたのかもしれない。

『なんで...私なんかに優しくしてくれるんですか』

坂「...」

『女の子の落とし方ですか?
私には卓さんが「誰にでもするわけちゃうわ」

勇人さんに話を遮られた。

坂「こんな事、好きな奴にしかせんわ。あほ。さっさと気付けや。」

『!!』

そんなこと言われても困る。
私には卓さんがいる。大好きな人がいる。

でも、なんでだろう。

ほんの少しドキドキしている自分がいる。
こんな事今までなかったのに…。

勇人さんは抱きしめていた手を私の肩に置き、
真剣な瞳で私の目を見つめた。

坂「俺やったら泣かせることなんかせぇへん。」

『...へ?』

坂「不安にも、不幸にもさせへん。」

.....勇人さんは何を言ってるの?
思考回路が上手く回っていなかった。

坂「好きやで。A。やから卓なんかとは別れて俺と付き合ってくれへん?」

『!!』

坂「卓と別れるまで待つから。やから...」

『ま、待ってください!
私は卓さんのことが好きです。それは変わりません!』

坂「こんな泣かされてんのに?」

『例えそうでも好きには変わりないです...!』

坂「ふ〜ん。なら振り向かせるだけやな。」

そう告げるといきなり顔が近づいてきて、勇人さんは自分の唇で私の唇を塞いだ。

驚き過ぎて声も出なかった。

勇人さんはまた悪戯な笑顔を浮かべていた。

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作者名:まっちゃ | 作成日時:2018年7月7日 13時

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