ドミノ ② (ページ9)

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試合終了から2時間ちょっとくらい。
やっと私の仕事も片付いて帰ろうと関係者用出入口から出るとまだ一台車が残っていた。

(高級車だ...まだ誰か選手が残ってるのかな？)

｢なぁ！｣

『っ！！』

あまりにもいきなり過ぎて驚いてしまった。
後ろを振り向いた。

｢そんなに驚かんといてや！悪い事してるみたいやんか！w｣

と言う哲人さんがいた。

『すみません...でもこんな遅くまでどうかされたんですか？』

山｢そんなんこっちのセリフやわ！こんな遅くまで仕事してたん？｣

『へ？あ、はい』

山｢待ってて正解やな！｣

『...え？』

山｢ん？｣

『いや、今なんて...』

山｢ん？やから、Aちゃんが仕事あるって言うてたから待っとこうと思って！｣

『そんな！だって何時間待たれてたんですか？！そもそも勇人さんたちとご飯行かれるんじゃなかったんですか？！』

山｢ドームん中で自主練してたしそんな待ってへんよ！飯は今日の試合は引き分けやったから決着ついたらにしようってなった！｣

｢やから気にせんといと！｣と王子様スマイルで言う哲人さん。

でも確実に2時間は経ってる。
明日も試合があって本当は休まなきゃ行けない人が2時間も自主練で時間を潰す？
そんなことが頭によぎると申し訳ない気持ちが溢れてきた。

『お疲れなのに遅くまですみません...』

山｢なんでAちゃんが謝るん？w
勝手に待ってたのは俺やし！それにこんな遅くに女の子を1人で帰らせる訳には行かへんやろ？｣

『でも｢って言うのは建前｣

私の言葉を遮って聞こえてきたのは...

山｢ほんまはAちゃんと一緒に帰りたかったから...なんて言ったらどうする？｣

悪戯に微笑みながら言う哲人さんの声。

月明かりに照らされているからなのか
真っ暗な中2人しかいないからなのか
ほんの少しだけドキッとしてしまった。

プルルルル

ポケットに入れていた携帯がなった。

『すみません！』

山｢ううん！全然！気にせんでええよ！｣

そう言われ少しだけ離れたところで電話に出た。

『もしもし？』

｢あ！もしもし！A？今平気？｣

『卓さん！大丈夫です！！どうしたんですか？』

卓さんからの電話だった。
後ろがガヤガヤしているから恐らく食事会でもしているのだろう。

中｢あのさ、｣

『？』

中｢...好いとーよ｣

『へ？！』

あまりにも突然すぎて可笑しな声が出てしまった。