僕たちの彼女［短編集］

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side Tomohiro






今日はエントリオでホームゲーム




普段はこんなことしないんだけど、




試合前に外に行って、ファンの子たちに紛れて写真を撮ろうと




元稀を連れて、外に出た






永露「うわ、人多」



「こんな人多かったっけ」




外に出ると、想像以上の人出に少し焦る



「これバレたらやばくね、？」



永露「ともがついてきてって言ったんだから、バレたらとものせいな」



「うぃ、」




手短に写真を撮って早く中に戻ろう


そう思っていた





俺のパネルがあるところを見ると、かなり列が伸びている



「俺んとこ混みすぎ」



永露「うわ、自慢かよ」



「元稀んとこは？」



永露「んー、ぼちぼち」




ぼちぼちと言いながらも、めちゃくちゃ並んでる



まぁ、俺よりは短けぇけど、笑



ってことで先に元稀のほうに並んだ





俺の列を見ていると、たくさんの人が写真を撮っていく



けど一人、気になる子が



その子は一人で来ているようで、俺単体の写真だけを撮って、



そのままいなくなると思っていたら、また列に並びなおして



ふーん



そんなに俺のことが好きなのか



永露「とも、順番だよ」



「あぁ、」



無事、写真を撮り合って、次は俺の列へ



あ、あとちょっとであの子の順番



靴ひもを結ぶふりをして、もう一回並ぶか様子をうかがう



…来た、笑



にっこにこで並び直すあの子に小動物の面影を感じる



「かわい、」



永露「え、今なんつった？」



「いや、なんもない」




ふと出た言葉に自分でも驚いた




あの子が列に並んだのを見て、急いですぐ後ろに並ぶ




『顔がかわいいんだよな、まず』



急に喋り始めたこの子



独り言にしては大きくない？笑



『んで、周りが高いから埋もれがちだけど、背が高い』



「だろ？ちびじゃねぇんだよ」



一言挟んでみるが、気づいてないみたい



永露「ちょ、」



元稀の制止もよそに、俺はこの子の独り言に口を挟む



早くこっち向かないかな、なんてな



「他は？」



『他は、って、』



ようやく振り返って、ビー玉みたいにきれいな目が俺を捉える



もともと大きい目がさらに大きくなり、


口が開いたまんまのこの子




「もう終わり？」




マスクを少し外し、首をかしげながら



俺自身最大の優しい声で問いかける










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