僕たちの彼女［短編集］

〃 ページ14

.









side You








誠大には別れを告げ、



同棲していた大阪から、実家のある東京へ





勤務していた会社には異動希望調書を提出し、



急遽、東京に異動させてもらった






親にすべてを話すと、これでもかというほどに怒られた





でも、さすが親だ




一日経つと、今まで通りに接してくれる







つわりも決して楽ではなかった



この辛さは、一人では耐えられなかっただろう



そんな中、家族からの支えもあって、



ついに、元気な男の子が生まれた






腕の中で眠る赤ちゃんの顔を見ると、



私はこの子と生きていくということを改めて決意する




なんとしてでも育て切ろう、と






3年が経った



私はこの子に、“遼大”と名付け、



毎日の成長を楽しみにした








あの日から誠大とは一切連絡を取っていない




連絡先はブロックして、取れないように




もう、3年も経ったのだ




こちらのことなど覚えていないだろう






そんな時、一件の通知が来た






“久しぶり、元気？”






連絡してきた相手は






柳田くん






親のつながりから、誠大とのつながりが強かった彼




同じ高校の先輩でもあったから、何度か会ったことがある




でも、しばらく連絡を取っていなかったからか、




すっかり連絡先を交換していたことを忘れていた




彼からの通知は続き、





“誠大がさ、急にAちゃん知ってるか聞いてきたんだけど”




“なんかあった？”






今まで一ミリも聞いてこなかったのに、と心配されてしまった




このまま、言わずに通すか



思い切って真実を話すか



迷っていると、指でいつの間にか押してしまっていたのか



柳田くんとのトーク画面が表示されてる



ということは、既読をつけてしまった







仕方ない










“明日、お話したいことがあります”













.

〃→←再会、そして再開　#8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す