誇り ページ9
〇誇り
「ただいま」
夜、家に帰れば
あ。
今日もか
「A、ただいま」
コクリと小さくうなづくだけ
今日みたいな日は
そっとしとくしかない
Aは部屋の隅で三角座りして
小さくなってる
昔からそう
こうなってる日は
Aが落ち込んでる日
具体的に言うと
担当の患者さんが亡くなった日
こういう時は
特に声をかけることもなく
静かに時が経つのを待つ
これが俺なりの優しさ
医者は
死に対して、何も感じなくなるって言うけど
やっぱりAはそうはいかなくて。
かなりの頻度でこう落ち込んでる
基本的に
次の日の朝には切り替えてにこにこしてるんだけど。
「紫耀、、話聞いてもらってもいい、、?」
でもたまに、こう俺に相談してくる
「いいよ、おいで」
そう言えばちょこちょこ歩いてくる
「今日ね、7歳の男の子が亡くなったの
血液のガンだった」
7歳、、
「たぶんね、私のミス」
Aはいつもそう言う
亡くなったのは全部私のせいって。
「違うから、大丈夫」
「ううん、もっと早い段階で違う薬に変えればよかった」
Aは少し完璧主義なところがあるから
ずっと後悔に苛まれる
「大丈夫大丈夫
Aは悪くない」
「悪いんだよ
今日言われたの
その子のご両親に
先生が悪いんじゃないですかって」
あぁ、、
なるほどな
だからいつもより病んでたんか
「そう言われたらそんな気がするの
絶対助けられる方法はあった」
淡々のそう語るAの目は
それこそ死んでるって感じ
「そんなことない
大丈夫、大丈夫」
細い体をそっと抱きしめる
「大丈夫だよ
Aは大丈夫」
赤ちゃんをあやすように
背中をぽんぽんする
そしたら、いつも通り
「しょおっ、、もう、悔しいよっ
助けてあげたかったのにっ、、」
俺の胸でぴーぴー泣き始めた
「そうよな
頑張ってたもんな、Aもその子も」
「うんっ、、」
Aが努力家なところは昔から変わらない
「大丈夫大丈夫
その子もきっとAに感謝してるよ」
ポロポロこぼれる涙を指で拭ってやる
「ふふっ笑
ほら、泣かないのーー
A先生の元気がなかったらみんな心配するから笑」
「うんっ、、」
そのままお姫様抱っこでベッドへGO
でもすぐに
「先生、お願いします!」
お呼び出し
「大丈夫?」
「もちろん、笑
行ってきます、紫耀」
誰よりも強くて、でも、繊細で
そんな彼女が俺の誇り
END
1300人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
珊瑚 - 廉くんが親友の子と(誰でも良いんですが)結ばれるお話か、しょう君不倫疑惑を書いて欲しいです、、、 (2019年10月24日 14時) (レス) id: 38e9beaba9 (このIDを非表示/違反報告)
ミカやん(プロフ) - リクエストいいですか???もし、よければ 彼女さんがストレスで失神してしまう話見たいです、、毎回神がかってるから欲が止まりませんw (2018年11月29日 0時) (レス) id: e0d739f7a6 (このIDを非表示/違反報告)
ミカやん(プロフ) - ありがとうございますありがとうございます 星10、連打したい (2018年11月28日 1時) (レス) id: e0d739f7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Hitomi(プロフ) - ミカやんさん» 褒められて伸びるタイプですありがとうございます笑笑 リクエストもありがとうございました!! (2018年11月27日 21時) (レス) id: d1d27ab42f (このIDを非表示/違反報告)
茅桜(プロフ) - すてきなお話ありがとうございます!! (2018年11月27日 21時) (レス) id: 18f1934dc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Hitomi | 作成日時:2018年9月7日 8時