ふわふわとえがお*文月 海* ページ15
そっと白い毛玉を抱きかかえて、大きなソファに移動する。
膝の上に乗せて撫でる。ふわふわだ。
「白田もご飯だぞ〜」
動けない私の代わりに餌皿を持って、隣に座る。
そちらに少し沈んで、白田もご飯に気づいて海のほうに寄った。
そしてご飯の匂いに釣られて黒田が来た。
『あっこら、白ちゃんのごはん取らない。』
後ろから抱きかかえて、ついでとばかりに後頭部に顔を埋めて吸った。
『…素晴らしい…草の匂い…』
「いい吸いっぷりだな。」
へらりと笑いつつ他の動物たちの餌皿も確認している。
相変わらずできる男だ、文月は。
白田がご飯を食べ終わったところを見計らい、黒田の長い耳に口を寄せる。
『わかるかい？君、文月に飛びつくんだ。そうすればいいことをしてやろうじゃないか。』
冗談のつもりだったのだ。
本当に飛びついた。
「え、うっわぁ！？！？」
ソファに倒れこむ文月。
怪我でもさせていたら一大事だ。
『大丈夫…！？』
駆け寄って覗き込むと、笑顔の文月がいた。
『おおう、怒ってますね？』
「流石の俺でも受け止めきれないっつの。」
黒田をぺしぺしと退けようとするが、のっしりと上に乗ったままの黒い物体はピクリともしない。
わたしはつい出来心で、
『うりゃー』
「嘘だろ！？」
乗った。
もちろん体重はかけないようにしている。地面に足ついてるし。
ソファの背もたれを追い越すように被さって、黒田の脇腹がよく見えた。
左後方の文月の顔を見ると、いつものアイドルスマイルじゃない、教室でバカやってた頃の顔が見えて、ほんのり懐かしくなった。
『へへ、やっぱその顔いいね。』
「うさぎと人間に乗られて苦しむ顔？」
『ちがうわ。』
背もたれに腕をついて上から退いてやると、黒田も飽きたのか海から降りた。
白田は一連の騒動を我関せずとばかりに毛づくろいしながら見守っていたようだ。姫のあだ名は伊達じゃない。
『ほんとに、そろそろ帰るわ。今日はありがとね。』
「はーい。向こうの子たちによろしくっつっといてくれ。」
おうよ、と戯けた返事を返して、動物たちの餌皿を回収してキッチンに置いてから、心なしかほかほかとした心で寮を出るのだった。
終わり
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藍華(プロフ) - リコさん» 気づかなくて申し訳ありません…！楽しんで頂けたのなら幸いです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2015年4月20日 23時) (
レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
リコ - 新さんをリクエストさせてもらったリコです！！難しい要求だったのに、すばらしいお話になっていてスゲー！！って思いました。リクエスト通りでおもしろかったっす！ほんとーにありがとうございました☆ (2015年2月28日 12時) (レス) id: c922c4cb93 (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - *郁夜*さん» 文字数が足りず、コメントなど少なくて申し訳ありませんでした…満足していただけたのなら幸いです。消化遅くなり誠に申し訳ありませんでした。 (2015年1月3日 23時) (レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
*郁夜*(プロフ) - 名前は変わってますけど、いっくんをリクしたものです!!書いていただきありがとうございました!とても満足しています! (2015年1月3日 21時) (レス) id: 0fc071909b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - まいさん» すみません！2に移行した際に外すのを忘れていました。ご指摘ありがとうございます。 (2014年12月17日 18時) (レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
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