unrequited love*睦月 始* ページ11
「…いつの間に……あ。」
開いていた問題集に、至って普通の、シンプルな付箋が貼ってあった。
[先、帰ります。]
外を見ると、薄暗い空の下を歩く彼女の姿があって。
手が、勝手に荷物を片付け始めていた。
校舎を出た時には、彼女はすでに校門の前にいて。
「おい！A！」
くるり、と振り返り、目を丸くするAに駆け寄った。
訝しげな顔を浮かべた彼女に、なんとも言えない感情を覚えた。
『どうしたの？そんなに慌てて…わたし、何か忘れて行った？』
表情や、声音から、本心だということがはっきりと伝わってきて、その感情はもっと深まっていった。
「さすがにこんな時間に女子1人で帰せるわけねーだろ。ほら、行くぞ。」
『…まだ、7時過ぎてない。』
「それでももう暗いだろ。」
『大丈夫、わたしを攫ってもなんにもならない。さっきの、女の子とか…むしろ、睦月のほうが攫われたら危ない。』
「とにかく…俺もそろそろ帰ろうと思っていたんだ。帰ろう。」
『は、はぁ…？』
困惑しきり、という顔の彼女の手を引いて歩き出した。
『…あの、手、離して。』
「ああ、悪い。」
校門を出たあたりで、やはりと言うべきか苦言を呈されてしまい、手を離した。
『…ねぇ、睦月って、家、どの辺。」
「そういうの良いから。遠いからとか言って断るんだろ。」
なぜ分かったし、とつぶやく彼女を見ていると、ポツリ、と鼻の頭に冷たいものが落ちてきた。
『睦月…傘、持ってる？』
「悪い、今日は降ると思ってなかった。走るか？」
『わたしは、家、もうすぐだから。歩く。…雨宿り、して行く？』
「いや、走って帰る。」
答えた瞬間、雨脚が強まり髪を濡らした。
「………して行く。頼む。」
2人して濡れ鼠になりながらも、Aの家に駆け込んだ。
一人暮らしらしいワンルームはシンプルにまとめられていて、彼女らしい空間だった。
バスルームから、彼女の声が響いた。
『…今、お風呂沸かすから。服、貸して。乾かす。』
「…は？」
『脱がなきゃ…風邪、引くよ？』
「いや、待て、ちょっと待て！！脱いだら、その、色々大丈夫なのか…？」
そう言ってバスルームを振り返ると、バスタオルを巻いただけの彼女がこちらを見ていた。
いとも自然に太ももやら谷間やらに目が行きそうになる自分に少し嫌気が差しつつも、強引に目を逸らした。
「…分かった。脱ぐ。」
溜息と共に、重くなったブレザーや、張り付くワイシャツを脱ぎ始めた。
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藍華(プロフ) - リコさん» 気づかなくて申し訳ありません…！楽しんで頂けたのなら幸いです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2015年4月20日 23時) (
レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
リコ - 新さんをリクエストさせてもらったリコです！！難しい要求だったのに、すばらしいお話になっていてスゲー！！って思いました。リクエスト通りでおもしろかったっす！ほんとーにありがとうございました☆ (2015年2月28日 12時) (レス) id: c922c4cb93 (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - *郁夜*さん» 文字数が足りず、コメントなど少なくて申し訳ありませんでした…満足していただけたのなら幸いです。消化遅くなり誠に申し訳ありませんでした。 (2015年1月3日 23時) (レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
*郁夜*(プロフ) - 名前は変わってますけど、いっくんをリクしたものです!!書いていただきありがとうございました!とても満足しています! (2015年1月3日 21時) (レス) id: 0fc071909b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - まいさん» すみません！2に移行した際に外すのを忘れていました。ご指摘ありがとうございます。 (2014年12月17日 18時) (レス) id: a2cd4c3dee (このIDを非表示/違反報告)
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