50：聞きたくない ページ50
「んん...うるっさいな...何時？」
鳴り続けるAの携帯電話。
お気に入りのLove Bye Love のオルゴール音も、
睡眠を妨げるものならば、うるさく感じてしまう。
腕を伸ばして、携帯を探る。
「んっ よっと...」
「...あい...もしもし...(-_-)zzz」
『...っ..てた...？』
「...んん？」
ボソボソ聞こえる低い声。
Aは眠たい眼を開けて画面を見る。
画面の表示は、『ユチョンさん』
「えっ!!!!!」
「もしもし？ユチョンさんですか？」
『ん〜... A〜』
ユチョンの低くてかすれた、でも甘い声。
耳元がくすぐったくて、赤面してしまう。
「もしもし？」
『あっはぁ〜 おっれ〜 ユチョンだっよ〜 ユッチョンｯ!!』
『A〜 無事レコーディング終わった〜』
あれ、ユチョンさん日本語なんだ。
しかも、呼び捨て？
「ユチョンさん、酔ってるんですか？」
Aの言葉も耳に入らず、話し続けるユチョン。
彼女である、『A』に電話しているつもりだった。
『A〜 不安になってない？ 寂しくない？』
「えっ...？」
『A〜 ごめん...やっと会えるねぇ〜』
ユチョンさん...なんの話？
誰との会話なの？
私を誰と勘違いしているの...？
『俺、時計なくしちゃったんだ...』
『...ごめん、誕生日にもらった、あの時計。』
Aの表情が強張る。
そしてユチョンの声に集中する。
『あはっ...去年の誕生日のプレゼントでさ〜』
『嬉しかったぁ〜 』
『...ふっ それで、初めて１つになったんすよねぇ〜』
『A 泣いちゃって〜』
...ﾌﾟﾂｯ
Aは電話を切ってしまった。
コレ以上、聞きたくない。
咄嗟にそう思った。
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革ベルト
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