11：普通の学生。 ページ11
「Aちゃん！」
ミンジョンが去った後もボーっとしていた。
日本語で私を呼ぶ声に気付く。
「...あ、凛ちゃん。」
日本人留学生の、凛ちゃんだった。
「ね、来月の連休、日本に帰るの。」
「そうなんだ！」
「Aちゃんは帰らない？」
「うん、予定はないかなぁ...」
「でも久々に帰りたいなぁ〜」
「あは。じゃあ、帰るんだったら一緒に行こう？」
「東京で遊ぼうよ。久しぶりでしょ？」
「うん。」
「じゃあね〜」
今日は、よく人が訪ねて来るなぁ...
日本か...もう１年以上帰ってないんだよね。
帰ろうかな。おばあちゃんにも会いたいし。
高校を出て１年、韓国で語学の勉強。
そして去年、大学に入学した。
今年２２歳。でも、まだまだ子どもだよ...
Aは手帳を出してｽｹｼﾞｭｰﾙを確認する。
それにソロリと近づく、人影。
「この大学ってね、あのチャンミンも在学中らしいよ〜」
「...っ!!!!」
「あっは！やっぱりAちゃんだ。」
本当に今日はよく人に会う。
また、会えちゃった。
「教授にまとめて課題出してもらいに来たんだ。」
「で、通りかかったら、あれそうかな？って。」
ヘラっと笑う彼の顔にキュンとする。
...ってキュンとしている場合じゃない！
「ユチョンさん！こんなとこいて良いんですか？」
「ん？大丈夫だよ。俺は今は学生だよ？」
「普通にしていれば、皆も普通なもんなんだよ。」
ま...まあ、空気読めば、声はかけづらいよね。
それにしても、ずっごい視線！
信じられないよ、こんなｽﾀｰが同じ学生なんて。
Aは冷静な顔で呟いた。
「でも、ｽﾀｰも私服で笑ってれば、学生なんですね...」
「あっはっは！何いきなり〜」
「俺、そんなにｵｰﾗない？きゃっは〜」
「わっ！ミッキ ユチョンの笑顔だ！」
「っぶ！むはっ...も〜おもしれ〜」
２人は、ユチョンの『憩いの場』と言う、
２度目に出会ったあの場所へ移動した。
ラッキーアイテム
革ベルト
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