出逢った頃のように３ (ページ10)

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―智Side―

７月から始まったツアーも昨日終わって、今日は久しぶりの休みだった

ツアーを終えるといつも、あたまん中が真っ白になるっつーか、完全燃焼するっつーか、なんかこうぽっかりと抜け落ちる感じがすんだけど

今日は一日なんかそわそわしちゃって、オフなのにはやく目が覚めちまった

．

あぁ…

はやく夜になんねぇかな…

．

腹も空かねぇし、特にやることもねぇし、でも時間が進むのすげーおそいし…

だから、最近触ってなかったスケッチブックを取り出して、鉛筆を滑らせた

．

．

．

大｢ふぅー…｣

なんかに取り憑かれたように書きまくって、気づいたら窓の外が真っ暗なのに驚いた

大｢やっべ…！｣

慌てて支度してから、あの店とは反対方向にある場所に寄り道して、大急ぎでまたあの店に向かった

．

―ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

大｢ﾊｧｯ…ﾊｧｯ…まだ来てないか…？｣

店ん中を見渡すと、女将さんがいつもみたいに優しく笑って｢いらっしゃい、久しぶりね？｣つった

大｢あの…Aちゃんまだ来てない…？｣

女｢いつものあの娘ね？えぇ、今日はまだお見えになってませんよ？｣

大｢そか…｣

いつものカウンターに座ると、女将さんがふふふと笑う

女｢それ、彼女にでしょう？｣

大｢これ？あ、うん｣

女｢こちらで預かっておきましょうか？｣

大｢あ…じゃあ、お願いします｣

女｢はい、大切にお預かりしてますね？｣

女将さんにつられて笑っていると、後ろからガラガラって音がした

女｢いらっしゃいませ、あら！久しぶり！｣