出逢った頃のように３ (ページ4)

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不意にキスをしてきたタカは、あたしの両腕を強く掴んで言った

孝｢俺には関係ないだ？ふざけんな！もうお前に振り回されんのはうんざりなんだよ！
アイドルに惚れてるなんて…そんな将来もわかんねぇやつにお前をあっさり渡すわけねぇだろーが！
お前がなんと言おうと、俺はお前を諦めねぇから｣

｢タカ…痛い…離して｣

孝｢…悪りぃ…でも、俺本気だから｣

―♪

重苦しい空気を壊したのは、ポケットに忍ばせていた無機質な機械音だった

｢はい…｣

ミ『Aさん？あの…その…どうでしたか…？』

｢ミーちゃん…うん、大丈夫だった｣

ミ『そうですか！あぁ、良かった…』

｢わざわざありがとう｣

ミ『いえ、板谷さんにも連絡したんですけど、繋がらなくて…』

｢えっ…？｣

隣に居るタカを見つめると、福岡ドームへ真剣な眼差しを向けている

ミ『板谷さん…一緒ですか？』

｢タカに替わろうか？｣

ミ『いいんですか！？』

｢もちろん、ちょっと待ってて？
タカ、ミーちゃん｣

孝｢えっ？俺？｣

｢早く｣

孝｢あぁ…もしもし？あぁごめん、昨日充電切れてたみたいで……話？今夜？いや…ミーちゃんあのさ…｣

福岡ドームからやって来る女性たちがあまりに幸せそうな顔をしていたから、大野さんはやっぱりアイドルなんだなって思い知らされた気がして虚しくなる

すると、ふわりと体が包みこまれ驚いて振り返ると、まだ電話中のタカが抱きしめながら耳元で言った

孝｢ミーちゃんごめん、俺やっぱりAが好きなんだ。フラれたけど諦めらんねぇ…だから、ミーちゃんの気持ちには応えられない｣