出逢った頃のように３ (ページ18)

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大｢Aちゃん…｣

．

絞り出すような声で、彼はあたしの名を呼んだ

．

｢は…い……｣

なんだか胸が苦しくなって、やっと出たあたしの声も掠れて響く

．

大｢すきっつったら…傷付く…？｣

｢えっ…？｣

大｢傷付けたくねんだ、Aちゃんのこと…｣

｢そんな…｣

大｢でもおれ…げーのーじんだからさ…｣

｢…はい…｣

大｢ゎかんねんだ…｣

｢…？｣

大｢すきなのに…だいじにしたいのに…きっと傷つける｣

｢大野さん…｣

大｢もう…どうしたらいいかゎかんねー…｣

．

そう呟いて、更に力強く抱きしめてからあたしの首筋に顔を埋めた

．

｢あたしも好きです｣

．

驚くほど素直にハッキリと言葉が出た

大｢えっ…？｣

｢あたしも…大野さんが好きなんです…っ｣

．

溢れ出る恋心はとどまることをしらなくて、押さえても押さえてもどこからともなく湧き出てくる

もうどうにでもなれと、行き場のなかった両腕を彼の背中に回すと、力強かった彼の腕の力がスッと抜け、二人の間に寂しい隙間ができた

｢大野さ…んっ…｣

愛しい人の名前を呼び終わる頃、唇に柔らかな感触が広がる

ほんの一瞬の出来事だった

僅かに感じるフルーティーな日本酒の香りが、どんなものより体を甘く痺れさせた

フッと唇を離してから、あたしの左頬を綺麗な指がなぞる

世界中の時間が止まったように、ただ言葉なく見つめ合うと、ほんの少しだけ開いた唇から、艶っぽい呼び声が漏れた

大｢A……｣

何かを決意するようなその力強い眼差しから目を逸らせずにいると

再び日本酒のフレーバーが

口の中に甘く広がった