出逢った頃のように３ (ページ17)

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大｢……なんかもう……すげーすき。｣

．

．

えっ………

今なんて………？

．

．

息をするのも忘れて、ただ目の前に広がる夜空を見つめていたら、スッと温もりが消え去って彼の体が離されたことを知る

だけど、右手だけが温かいままで、繋がれた手と手から彼の鼓動が聞こえて来るような気がした

大｢…おねがいがあんだけど…｣

｢お願い…？｣

大｢ん…｣

｢なんですか…？｣

大｢…連れてかえってい？おれんち。｣

．

．

．

大｢とりあえず手当てしなきゃ…｣

毎朝見かける度に、あたしには一生縁のない場所だと思っていた所に、今こうして立っている

大野さんに導かれるがままやって来た高級マンションの高層階にある一室

シンプルな家具が置かれた部屋の中には、書きかけと思われるスケッチブックと鉛筆がコロンと転がっている

大｢これまだ使えっかな…？｣

首を傾げながら、箱に入ったティッシュと共に消毒液を手に彼はやって来た

大｢座っててっつったのに…｣

困ったようにそう笑うと、あたしをゆっくりとソファーに座らせてからひざまずいた

大｢いくよ？｣

上目遣いの彼から目が離せない

言葉にならずこくりと頷くと、右手に持っていた消毒液をジンジンと脈打つ膝に遠慮がちにかけた

｢いっ……！｣

大｢わ！ごめん！｣

タラリと垂れる無色の液体を慌てた様子で拭き取るから、それがまた傷口に響いて鈍い声が出た

大｢あ、いたかったね？ごめん…｣

シュンと俯いた明るい髪がどうしようもなく愛おしくて

痛みのせいでじんわりと浮かんでいた涙を拭い｢大丈夫です｣と強がると

彼は少しだけ視線をあげてから

あたしを抱きしめた