出逢った頃のように３ (ページ12)

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―孝則Side―

大野はこちらを向いた後、目を見開いてからがっかりしたようにまた体勢を元に戻した

孝｢Aじゃなくてがっかりしました？｣

椅子を一つ空けてカウンターに座ると、大野はグラスを見つめたまま何も言わなかった

孝｢この間福岡で会いましたよね？ホテルのエレベーターで｣

大｢………｣

孝｢Aのこと、ほっといてもらえませんか？｣

大｢………｣

孝｢芸能人だったら、もっといい女抱けんでしょ？Aじゃなくたっていいだろ！｣

大｢………｣

孝｢なんとか言えよ！｣

大｢…言いたいことはそんだけ…？｣

孝｢はぁっ？｣

大｢あんたが…Aちゃんのなんなのかは知らねぇけど…おれはAちゃんと話すから。だから、あんたに話すことはなんもない｣

孝｢なっ…なんだよそれ！｣

女｢まぁまぁ落ち着いて？何か飲むかしら？｣

孝｢俺はいいです。話が終わったらすぐ帰りますんで｣

大｢じゃあおれ日本酒おかわり｣

女｢はい、かしこまりました｣

孝｢とにかく、芸能人の気まぐれに付き合わせんのはやめてくれ｣

大｢…気まぐれ…ね｣

孝｢まさか…本気だなんて言わねぇよなぁ…？｣

大｢なんで？本気じゃダメなの？｣

孝｢…なんでAなんだよ？｣

大｢それ…おれに聞く？｣

孝｢どういう意味だよ？｣

大｢んなのあんたが１番わかってんじゃねぇの？｣

孝｢はぁ？｣

大｢なんでAちゃんなのか。なんでAちゃんじゃなきゃダメなのか。
それはあんたが１番わかってるでしょ？｣