出逢った頃のように３ (ページ2)

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―翔Side―

あれから智くんは、ホテルに備え付けてあった便箋を前にしばらく考え込んで居たかと思うと、何かを書いては｢あーもー！｣と声をあげ頭をガシガシと掻いていた

大｢できた……｣

悩みすぎて疲れた様子の智くんの周りには、書き損じた便箋たちがぐちゃぐちゃに丸められており、結局ようやく書けた完成品はベッドサイドに置かれたメモの紙切れ１枚だった

櫻｢ずいぶん悩んでたみたいだけど、なんとか書けた？｣

大｢なんか何書いていいかわかんなくて…気付いたら便箋なくなっちった…｣

そう言った表情は、疲労の中にどこか晴々としたものがあって

櫻｢うまく書けたんだ？｣

と聞いたら、

大｢ん…｣

と照れたように目尻を下げた

．

ヒラヒラと持つメモは薄っぺらくて、裏から字が透けて何て書いてあるかは聞かなくてもわかる

またそんな抽象的な書き方を…

ハッキリ連絡先とか書きゃあいいものを…

まぁ？智くんらしいっちゃらしいけどさ

そんなんで本当に来てくれんのかよ？

．

だけど

智くんがそのメモを大切そうに愛おしむように見つめるから、本当に明後日彼女が来るんじゃないかと思えて来るから不思議だ

．

この男は

．

うちのリーダーは

．

．

やっぱすげぇや。