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｢はー…お腹空いた…｣
あれからしばらくした夜
駅前のコンビニで買ったおにぎりとパンの入った袋を手に家までの道程を歩いていると、ふとあの高級マンションの前で声を掛けられた
大｢あ。｣
｢あ、どうもこんばんは｣
大｢…ども｣
｢いつもこんなに遅いんですか？仕事｣
大｢いや、今日は早いほう｣
｢そうですか、大変ですね｣
大｢そっちこそ…これからメシ？｣
｢はい、コンビニのですけどね｣
大｢でもうまいよね、コンビニのやつ｣
―ｸﾞｩ〜―
大｢あっ…腹鳴っちった…｣
｢大野さんも食事まだですか？｣
大｢うん。おれもコンビニ行って来よっかな｣
｢あ、良かったらこれどうぞ！この間借りた傘のお礼に｣
大｢えっ？でもそしたらあんたのが…しかもカサあげるつったのに｣
｢良かった、受けとって貰えたんですね傘！
あ、朝の分もと思って余分に買ったんで。パン、お好きなんですよね？はい、サンドイッチくらいしかないですけど｣
大｢うん…好き。…ありがとう｣
｢じゃあ、おやすみなさい｣
大｢ん｣
大野さんと別れてまた自宅へ向かって歩き出すと、｢ねぇ｣と再び声を掛けられた
振り向くと、大野さんが走りながらこちらへ向かっていた
｢はい？｣
大｢なんで知ってんの？｣
｢えっ？｣
大｢だから、パン。好きだってなんで知ってんの？｣
｢あぁ、この間たまたま雑誌の記事で読みました｣
大｢えっ？雑誌？｣
｢はい…？｣
大｢おれの事…気付いてたの？｣
｢えぇ｣
大｢いつから？｣
｢いつからって…傘貸して貰った時からですけど…｣
大｢そっ…か。何も言わねぇからてっきり…｣
｢心の中ではものすごく叫んでましたけどね？笑
実際に叫ばれたら困りません？｣
大｢ん、困る…｣
｢ふふ！じゃあまた！｣
大｢あっねぇ！｣
｢…？｣
大｢名前！なんつーの？｣
｢名乗る程の者じゃありませんよ！笑｣
大｢でも…知りてぇし…｣
｢Aです。佐伯A｣
大｢佐伯A…さん｣
｢はい！おやすみなさい、大野さん｣
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作者名：紗愛(サラ) | 作成日時：2012年1月2日 22時
