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＊
家に帰り、荷物もそのままにベッドにダイブする。
いつか見た夢を思い出す。
翔太が女の人と抱き合っていて
わたしに向かって「お前最低だな」と言い放つ夢。
まさにあの通りになった。
別れ話をされると思っていたのも、勘違いが甚だしい。
連絡を一方的に絶ったわたしを翔太は憎んでいる。
そしてもう他に女の人がいて
それを見せつけるために呼んだのだ。
深澤さんに頼んだとおりになって、
わたしはちゃんと翔太に嫌われた。
だからこれでよかった、よかったんだよ
何度も頭の中で繰り返す。
そうしないと涙を止めることが出来なかった。
ピンポーン、とインターホンが鳴る。
画面にはひらひらとカメラに向かって手を振る深澤さんの姿。
泣いていたことを気づかれたくなくて、瞼を掌で少し押さえてから玄関を開ける。
「Aちゃんお疲れー…、」
深澤さんはわたしの顔を見て、一瞬何かに気づいたような表情をしたけれど、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「Aちゃんの家久しぶり！入ってもいい？」
前回はこちらに伺いもせず上がり込んだのに、恋人のふりをする今日は訊くんだ、と笑いが込み上げる。
「どうぞ」
「なんか、家ってドキドキすんね」
「この前は勝手に入ってきたのに何を言ってるんですか」
「えーそうだっけ？歳のせいか記憶力がなくてさあ」
恋人ごっこも、もう３回目。
ただの取り引きだった筈が、今やわたしの中で大切な時間になっていた。
１ヶ月に一度の、キスも、手を繋ぐことすらもしないデート。
それでもふざけ合って笑う私たちは仲の良い恋人のように見えるだろう。
翔太のことが終わっても、この関係を続けたいと思ってしまうわたしは本当に最低だ。
最低なのは、分かっているけれど。
「今日はここで、恋人ごっこしよっか？」
ベッドに腰掛けた深澤さんに
誘うような視線で絡めとられる。
…もう、どうでもいいか。
諦めと、罪悪感と、少しの期待を秘めて
わたしは誘われるままベッドに向かった。
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藤野(プロフ) - chipmxxxさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）最後の一言に含みを持たせてしまいました。そのうち短編でその後を書こうかとも思っております…！ (2021年9月21日 15時) (
レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
chipmxxx(プロフ) - まず、完結おめでとうございます！！でも、、最後の一言が気になります！！もしや続編！？って思っちゃいました（ ; ; ） (2021年9月20日 22時) (レス) id: 02094a77bb (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - たぬさん» ありがとうございます…大好きな作品だなんて本当に嬉しいです（ ; ; ）最後はハッピーエンドにしたかったので、そう言っていただけると救われます。これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします…！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ - 完結おめでとうございます！とっても大好きな作品でした。青さんとのすれ違いで苦しんだ分ハッピーエンドになれてよかったです！また次作なども楽しみに応援しています。 (2021年9月20日 10時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - yucco0818さん» お読みいただきありがとうございました！紫さんの切なさを感じていただけて嬉しいです（ ; ; ）短編集は全体公開としましたので、いつでもお読みいただけます！よろしくお願いします。 (2021年9月19日 8時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤野
| 作成日時：2021年8月31日 15時
