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「お邪魔しまーす…って、おーい」
玄関の鍵が開けっぱなしだったことに苦言を呈そうと部屋に入れば、
きれいな脚を床に投げ出して座るAと
テーブルの上のワインボトルが目に入る。
……もう半分くらい減ってるし。
「先に始めてんの、ズルくね？」
「早く飲みたかったの。たつも追いついてよ」
「マジか、俺ビールでいい？」
ぶら下げてきたビニール袋から缶ビールを取り出すと
「乾杯は付き合うよ」とすかさず手が伸びてきて
俺の手からするりと奪っていく。
「はい、かんぱーい」
「え、待っ」
彼女の身勝手な音頭に、もう一本急いで開けて
苦い液体を一気に流し込んだ。
「っはー、やっぱビールおいしいね」
「よくワインからビールいけるな」
「まだちょっとしか飲んでなかったし」
「…のわりに酔ってない？」
目の下が赤く染ったAは既に色気をまとっていて。
お預けを食らった分、早くその肌に触れたいけど
ずっと抱えているモヤモヤだけはすっきりさせたい。
「デートとやらはどうだったのよ」
「うん？」
「俺を断って行くくらいだし相当いい男なんでしょ」
「いい男っていうか…元カレだからね」
AはAで酔いに任せたいのか
缶ビールをグイッと勢いよくあおる。
「は、元カレぇ？」
「大阪から来てくれたから。会うの５年ぶりだったけど」
「ヨリ戻してとか言われたわけ？」
「そういうんじゃないけど、」
何かを隠してるときの、唇をキュッと結ぶクセ。
「なに？」
「何もなかったよ」
「ウソつけ」
「都合のいい男にしていいとは言われた」
「はいー？」
「でももう都合のいい男はいらないって答えた」
もうここに一人いるもん、と俺を見て笑うAに
心臓が掴まれたみたいに苦しくなる。
あーやっぱりね
俺は都合の良い男ですよね
「だいたい大阪と東京じゃ、無理だろ」
「うん」
「遠距離じゃAの性 欲、満たせないって」
歳を重ねて人の好意に気付くのは上手くなっても、
自分の気持ちを伝えるのはどんどん下手くそになっていって。
手放すくらいならこのままで、と
誤魔化して先延ばしにする方法ばかり覚えていく。
たつ失礼だね、と
薄く笑ったその唇を掬い上げてそのまま床の上に組み敷けば、
濡れた瞳と目が合った。
「「まだ終わらせないで、」」
「年の功」
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藤野(プロフ) - エリさん» エリさま、最後まで読んでいただきありがとうございます…！そして嬉しいお言葉、恐縮です（ ; ; ）♡次は白さんのお話を書きたいと思っておりますので、ぜひぜひ読んでいただければ嬉しいです♡これからもよろしくお願いいたします！ (9月9日 23時) (
レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
エリ(プロフ) - おつかれさまでした！本当に、素敵すぎる作品でした♡きっとこれからも何回も読み返してしまうと思います。今回のラウちゃんが可愛かったので、年上のお姉さまに必死なラウちゃん見たいです…(/ω＼*)これからも応援してます♡ (9月2日 22時) (レス) @page48 id: 75cad7619e (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - ひなこさん» ひなこさまありがとうございます！なんと嬉しいお言葉…（ ; ; ）少しでもドキドキしていただけていたら幸いです…！次の作品も楽しんでいただけるように頑張ります！♡ (8月25日 23時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
ひなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！リアコふっかのかっこいい部分とふわふわな部分具合が丁度良くて、主人公もとても可愛かったです♡何気ない日常でのプロポーズも本当に素敵でした！次回の作品も楽しみにしてます♩ (8月24日 23時) (レス) @page48 id: 3d8e593499 (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - lncjさん» いつもコメント嬉しいです（ ; ; ）♡ありがとうございます！完結までお待たせしてしまったのに、最後まで読んでいただき本当に感謝です…。次の作品も、また読んでいただけたらとってもとっても嬉しいです（ ; ; ） (8月23日 13時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤野
| 作成日時：2022年3月4日 17時
