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「なんか、やだ」
「なあんでよ。俺がチェックしてあげるって」
「やだ、絶対なんか言う!」
「だーいじょうぶだって!ほら」
ワンピースを押しつけられて逃げ場がなくなったわたしは
仕方なく脱衣所に入り扉を閉める。
外からは「俺のことラウールと思って出てきて!」なんて
無茶振りしてくるたつの声。
……そんなん無理に決まってるし!と毒づきながら
着ていたブラウスを脱いで、ワンピースに袖を通した。
渋々扉を開けて出てみると、
床に座って缶ビールに口をつけている辰哉が
「お、」とこちらを見て声を上げる。
ラウールと思って出てこい、とか言ったくせに
おじさんみたいなビールの飲み方して!
「…着た」
「おお、」
「ねえ、なにその反応!」
「え、いや、ふつーにかぁいいじゃん」
……え?
今かわいいって言った?
想像してたのと違う反応に戸惑っていると
もう一口ビールを飲んだ辰哉がへにゃり、と笑う。
「まあ俺はもうちょい露出があったほうが嬉しいけど〜」
「た、たつの好みは聞いてないから」
缶ビールを片手に持ったまま立ち上がった辰哉は
ふーん、とか、へーえ、とか言いながらジロジロ見てくる。
ふと、背中のほうを見た辰哉が「あ、」と声を上げた。
「あーこれ、ラウールには向いてないわ」
「え、なんで?」
「だってこれ、なんていうの?…後ろがボタンになってる」
辰哉が言うとおり、
スタンドカラーのワンピースは首の後ろ部分に
くるみボタンがついているデザイン。
後ろ姿もかわいくて、これにしたんだけどなあ。
「このボタンがかわいくない?」
「んー、かわいいけど」
「…けど?」
「あいつじゃ、これ脱がせられないでしょ」
「…………は?」
思わず大きめの声が出てしまった。
「そういう雰囲気になったときに、ラウール困りそう」と
ニヤける辰哉をわざと冷たい目でジロリと睨む。
「そういう雰囲気にしたいわけじゃないから!」
「え、そうなの?
デートしたいっつーから、あいつとやりたいのかなって」
「たつの脳みそと一緒にすんな」
「あはは!」
もう着替えるからね、と脱衣所に戻ろうとすれば
グイッと腰を抱かれて身動きが取れなくなる。
「もう!なに、」
「ごめん、脱がせたくなっちゃった」
呆気にとられるわたしの目の前で
たつは余裕げにビールをまた一口飲んだ。
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藤野(プロフ) - エリさん» エリさま、最後まで読んでいただきありがとうございます…!そして嬉しいお言葉、恐縮です( ; ; )♡次は白さんのお話を書きたいと思っておりますので、ぜひぜひ読んでいただければ嬉しいです♡これからもよろしくお願いいたします! (9月9日 23時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
エリ(プロフ) - おつかれさまでした!本当に、素敵すぎる作品でした♡きっとこれからも何回も読み返してしまうと思います。今回のラウちゃんが可愛かったので、年上のお姉さまに必死なラウちゃん見たいです…(/ω\*)これからも応援してます♡ (9月2日 22時) (レス) @page48 id: 75cad7619e (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - ひなこさん» ひなこさまありがとうございます!なんと嬉しいお言葉…( ; ; )少しでもドキドキしていただけていたら幸いです…!次の作品も楽しんでいただけるように頑張ります!♡ (8月25日 23時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
ひなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!リアコふっかのかっこいい部分とふわふわな部分具合が丁度良くて、主人公もとても可愛かったです♡何気ない日常でのプロポーズも本当に素敵でした!次回の作品も楽しみにしてます♩ (8月24日 23時) (レス) @page48 id: 3d8e593499 (このIDを非表示/違反報告)
藤野(プロフ) - lncjさん» いつもコメント嬉しいです( ; ; )♡ありがとうございます!完結までお待たせしてしまったのに、最後まで読んでいただき本当に感謝です…。次の作品も、また読んでいただけたらとってもとっても嬉しいです( ; ; ) (8月23日 13時) (レス) id: 598697b442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤野 | 作成日時:2022年3月4日 17時