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深澤side。
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あわよくば、このまま俺のこと好きになってくんないかなって。思ってたよ。
でもそんなの思うだけ無駄だってことも、ちゃんと知ってた。
昔っから物分かりは良いからさ。
Aちゃんと付き合ってるってみんなの前で嘘をついた。
ギャーギャー騒がれたけど、そんな中で康二は嘘みたいに喋らない。ビー玉みたいに透き通った蜂蜜色の目をグラグラ揺らした康二。…なんだ、こっちもちゃんと大好きじゃん。
おまえが翳ってたらAちゃん、どこ向いて咲けば良いか分かんなくなっちゃうよ？
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蓮「やっぱり…赤い糸、ふっかさんと繋がってる人は幸せやと思う」
「…この先、誰かいんのかな」
蓮「おるよ！絶対。」
「…Aちゃんが言うなら、そんな気してきたわ」
へらへら。笑うのは得意だから。
単独ドームツアー、東京公演の前日。
こうしてAの家で2人で会うのは、きっと今日が最後。
ネタバラシは東京3日間のうちのどこか。
つまり、それまでが恋人ごっこの有効期間。
2人でそう決めた。
蓮「康ちゃん、意識してくれるかな…」
「バカだねぇ。この期に及んでまだそんなこと言ってんの？」
蓮「だって…」
「本気、見せるんでしょ。康二に。」
蓮「…うん」
康二との約束を、手が届かないと思っていた東京ドームで。果たそうとしているAはもう充分魅力的なのに、きっとこれからもっと輝く。
…大事にしてたつもりだったんだけどな。
ちっちゃくて、キラキラした宝物。
いつの間にか形を変えて…俺には抱えきれなくなっちゃった。
最後だから恋人っぽいことしとく？って一緒にベッドに潜り込んで。
オデコにキスを落とすと、お返しみたいにAちゃんがほっぺにキスをした。
蓮「おやすみ、ふっかさん」
「おやすみ」
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意識を手放す寸前に、無意識に俺の服をギュッて掴んじゃうとこも、すり、って胸板に頬を寄せるとこも。
可愛くて愛おしくて堪らないんだよ。
俺はAの初恋を奪っちゃったらしいけど、
「……Aちゃんも俺の初恋泥棒だったんですけどねー…」
ずっと捕まえてた。でももう、釈放してあげなきゃね。
Aならきっと、自分で太陽を見つけられる。
そっとベッドから抜け出して、寝息を立てるAの頭を撫でた。
「…ありがとね。付き合ってくれて。」
寝室から出る瞬間、背後で鼻を啜る音が聞こえたような気がしたけど、振り向かなかった。
今度こそ諦められなくなりそうで。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
