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深澤side。
.
Aが参っちゃった時。
側にいたのは俺だった。
蓮「なんでそんなに優しいん…？」
つい、Aの家のソファでうたた寝してて。
ソファから投げ出していた左手の小指に控えめに絡んだAの小指。
「…なんの約束？」
蓮「…起きてたん？」
「んー…いま目、覚めた…」
あくまでも今起きましたよ、みたいな顔をして。
Aのほうから触れてくれた小指は離さずに体を起こす。ゆびきりげんまんみたいなやつ？
「ずっと一緒にいれますよーに？」
蓮「んふふ 居てくれる？」
「そりゃあAちゃんが望むなら喜んで」
望んでなくても、俺は…なんて思ってたのに。
蓮「………約束っていうか、赤い糸っていうか…」
「へ？」
Aの口から飛び出したのは予想もしていなかった言葉だった。
「…今のどういうこと？」
蓮「いや……ふっかさんと繋がってる人は幸せやろうなと…思って……」
深い意味は無かったんだと思う。
それでも、じわじわと顔を赤くして俯くAが可愛くて。
初めて気持ちが通じ合った子どもみたいに、照れた。
俺のこと好きになっちゃった？とか、お嫁さんになるー？とか。いつもの軽い調子で誤魔化そうと思ったのに。
「ごめ、」
なんでか言葉に出来なくて。
俺って器用なはずなんだけど。
おまえの前だとうまくいかねーわ。
「…繋がってるかは分かんないけど、俺、Aのこと幸せにする自信あるよ？」
ソファの下のラグに座ってたAに覆い被さるみたいにしてその華奢な体を捕まえた。
鼓動がやけにうるさく響く。
Aに聞こえてませんように。
がっついて、なりふり構わず追いかけんのなんて、柄じゃないんだってば。
蓮「ふっかさんのこと…好きなままでおりたかった……」
そう言って俺の肩を濡らすAは、残酷だよ。
「…やっぱり好きじゃん。康二のこと。」
蓮「好き…大好きで、苦しい……」
「…じゃあさ、康二のこと本気にさせてみない？」
蓮「え…？」
向井康二は、驚かされてナンボでしょ。
「Aちゃん。俺と付き合お？恋人ごっこ。」
蓮「ごっこ…？」
「カレカノのフリすんの。
流石に康二も大好きなAが俺みたいなやつに捕まったら焦ると思うよ？」
蓮「そうかなあ…」
「だいじょーぶだって。これぐらいの荒療治が必要でしょ。今の康二には。」
大丈夫。
これで終わりにするから。
あとちょっとだけ。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
