・ ページ23
.
蕩けた脳は判断力を低下させる。
あれ？と思った時にはベッドに体が沈んでいた。
視界にはオレンジに照らされる康二くんが私を妖艶に見下ろしている。
「待っ…」
向「待ってはもう聞かへんで」
「ん、」
文字通り、容赦無く口を塞がれる。
逃げても逃げても捕まっちゃうのは充分過ぎるほどに理解してるはずやのに、性懲りも無く顔を背けたり胸を手で押し返したりしてしまうのは許して欲しい。
向「…抵抗してんの？」
全部見透かすみたいに笑った康二くんが私の手を絡め取る。キスだけでもうどうしようもないぐらい満たされてるのに、これ以上注がれ続けたら、どうなってしまうんやろう。
.
向井side。
.
蓮「やっ、も…っ…！」
「まだ…」
俺の下でいややいややと多分無意識に声を漏らすAは可愛くてしょうがない。もう無理やと紡ぐ言葉とは裏腹に俺の手を必死に掴んで離さへん。
ポロポロ涙を溢しながら潤んだ目で俺を捕らえてうわ言みたいに好きやと言う。
蓮「康ちゃ、ずっと…一緒におってっ…」
意識を飛ばす寸前に口にしたその言葉は、今まで素直になれへんかったAのささやかな我儘。
「離すわけないやん……」
そんな呟きはあどけない顔して目を閉じるこの子には聞こえてへんけど。
無理させてもうたなあ…怖い思いさせてへんかなあ…とAに服を着せながらひとり反省会をしてみるけど、止められへんかった。どうしても。
俺の重すぎる愛を蝕んで空っぽにしてくれたらええのに、そんなん空になるはずもなく。
すっかり気を許して眠るAの頬を撫でてたらいつの間にかまどろみの中に落ちていく。
.
ふわふわ。
明け方、こしょばいようなその感覚で目が覚めた。
「ん…？」
蓮「…おはよ」
まだ少し眠そうな目で俺を見つめるAが微笑む。
俺の髪を触る白くて細い指。
腕の中にAが居てる。夢の中みたいやった。
蓮「…」
「どしたん？」
じっと俺を見てたAが胸元に顔を埋めてきた。
蓮「だいすき」
「…そんな甘えたなA知らんけど」
誰に教えられたんやろって思ったらムカついた。
こんな可愛いAを他の誰かに知られてんのが悔しくて、つい子どもみたいな態度を取ってしまった。
でもAはクスクス笑い出して。
「なんで笑うん…」
蓮「ふふ だってこんなん、康ちゃんしか知らんのに。ヤキモチ妬いてるの可愛くて」
甘ったるい声で、俺を喜ばせんねん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
