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いつやったか…私に「好き」と伝えてくれる康二くんに、おんなじ「好き」を返せたらどれだけ嬉しそうに笑ってくれるんかな、なんてことを考えたことがある。
「康二くん…」
向「ん？」
薄いように見えて、実はがっしりしてる康二くんの体に包まれると前までやったら安心材料でしかなかったのに。
…今は、ドキドキする。
胸板を少し押すと、逆に強く引き寄せられて、ぴったりくっついた体に熱が籠る。
「く、苦しいから……」
向「んふ 顔真っ赤っかやなあ」
「言わんとってよ…」
向「そんなに俺のこと好きなん？」
にこにこ。
康二くんは冗談のつもりやったんやと思う。
「…うん、大好き。」
包み隠さずそう伝えたら、ポカーンって固まって、その後ぶわわって耳まで赤く染めた。
「んふふ 誰が真っ赤っかって？」
向「あかんって…」
ギュウッて、ここにおるって確かめるように力強く私を抱き締めて。それから顔を上げた康二くんは潤んだ目で、顔をくしゃくしゃにして笑ってた。
向「……離れたくない」
「…でも、準備…」
開演まではまだ充分時間はあるんやけど。
このまま一緒におったら心臓がもたへん気がするし…
向「もうちょっとだけおろ？」
やけど康二くんは離れる気がないようで…
にぱって可愛く笑ってそんなこと言われたらノーとは言われへんくて。
大人しく康二くんの腕の中に収まった。
廊下ではガヤガヤ、バタバタ。
人が動いてる気配がするのに、この部屋の中だけ時が止まったみたいに穏やかで心地良かった。
あれー？康二はー？ってさっくんの声と、そういやA知んない？ってしょっぴーの声がしたけど…
向「……」
「……」
2人で顔を見合わせて。
シーって。
いたずらっ子みたいに笑い合った。
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少ししてから、そろそろ戻ろっかって立ち上がった。
「今日は前髪いる？いらん？」
向「どっちでも可愛いと思うけど…さっくんに妬いてまうから、下ろしといて」
む、と唇を尖らせる康二くん。…あざとい。
向「あ！そぉや。…あんまりやり過ぎんといてな？」
「何を？」
向「…メンバーとのスキンシップ。
アイドルのAも好きやけど、俺が好きになったのは蓮野Aっていう1人の女の子やねんから…
いくらメンバーでも妬いてまうと思う……」
康二くんのくれる言葉ひとつひとつが宝物みたいに仕舞われていく。
私は私で良いって言われてるみたいで、鼻の奥がツンとした。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
