おにごっこ ページ14
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深「お嬢さんさぁ…いい加減にしてくんない？」
やばい。小言が始まる。
YouTube撮影の後、帰りの車でたまたまふっかさんと2人になった。
それはそれは深い溜息をついたふっかさんはさながらママで、目が見れない。
深「あんだけ御膳立てしてやったのになんも進展してないってどういうこと？もう明後日から福岡なんですけど」
「だってさあ…」
深「だってじゃなくて。」
う…ピシャリと言い切られて体が縮こまる。
広い車内で、今日に限って隣に座ったことを後悔した。
それかみんなが降りてった後に移動しとけば良かった…
深「てっきりあの日うまく行くと思ってたのにAちゃんさっさと帰ったでしょ」
「急いでて…」
深「地方でもないのに？次の日昼からだったのに？」
こういう時グループでスケジュール共有されてると言い訳出来ひんくて困る…
深「逃げてんね」
「タイミングがなかなか…ね？」
深「嘘だ。あの日康二がAちゃんのこと追っかけてたの俺見たもん」
なんでこの人いっつもそういう場面遭遇すんの…！？
私と康二くんの位置情報でも握ってる！？
深「完全に黒。」
「ごめんなさい…」
白旗。降参。
私かふっかさん、どちらの家に先に行くにしてもこの場所からはまだかかる。
その間うまいこと交わし続けるなんて絶対無理やと判断して、ここはもう正直に白状することにした。
「仰るとおり康二くんから逃げてます…」
深「だよね？なんで？」
「…怖いもん」
深「…まだ何を怖がることがあんの？」
「ステージから降りて、アイドルじゃなくてただの私になった途端に怖気づいちゃうねん…」
ステージの上ならアドレナリンが出てるから気が大きくなるんやけど…スイッチが切れた瞬間、自信なくなっちゃって。そう話したらふっかさんは、馬鹿だねぇ…って言うけど……
「だって康二くんってあんなにキラキラしてた…？」
深「はい？」
「ステージから降りてもカメラの前じゃなくてもなんかずっとキラキラしてて見てられへんねんもん……」
深「……あえてもっかい言うけど、馬鹿だね？」
なんとでも言うてよ…
ふっかさんと付き合ってないって康二くんにバラしたあの日、ライブが終わってすぐに康二くんは私を追いかけて来たけど…私を呼ぶ声も、額に滲む汗も、かき上げた前髪も、全部が全部苦しくて。
あれ？こんなに格好良かったっけ？って。
この人の隣に立つ自信ないかも…！って、思っちゃったんやもん…
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
