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目黒side。
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今日は珍しく、俺とA2人の現場で何パターンかヘアメイクや衣装を変えての雑誌撮影。今は3パターン目の準備待ちだった。
「Aさ、ふっかさんと付き合ってなかったんだね」
蓮「…うん。嘘ついてごめん。」
「いや？俺としてはラッキーだけど」
わざとそんな言い方をしてみたら、困ったように眉を下げて笑ったA。きっともう、俺の気持ちにも気付いてるし、Aの心も決まってる。
蓮「…約束、守れそうにないみたい。」
「…なんのこと？」
蓮「分かってるくせに。」
もう、って拗ねたような顔で俺を見るAは人のことには敏感だから…俺の演技なんてAの前では通用しない。とぼけるだけ無駄だ。
蓮「いつか失うくらいなら、独りを選んだ方がマシって思ってた。けど…」
「選びたい1人が見つかったんでしょ？」
Aは申し訳なさそうに小さく頷いた。
自分のことはすぐに諦めちゃうAが、諦めたくないって思うなんてよっぽどなんだよ。
…ほんとは頭のどっかで気付いてた。
康二にはどう足掻いても敵わないって。
俺が惹かれたのは、康二の隣に居るAだった。
蓮「…ごめん。」
「Aが謝ることない。
…俺、諦め悪いからさ。俺を選んで貰えないなら、せめてAが誰のとこにも行けないようにした。」
ーーー…「誰のものにもなんないで…」
「ああ言えば、Aは誰も選べないと思って。
…だから、謝るのは俺だよ。」
蓮「ごめ…っ、」
ポロポロとAの頬を転がり落ちる雫を受け止める資格は俺には無い。泣かないで。笑ってて。
「あ…メイクが…」
ほら。こんな時にAの涙を止める気の利いた言葉ひとつ出てこない。
…やっぱり、この子を笑顔に出来るのはおまえしかいないよ。康二。
「…Aのことを幸せにしたいって思ってる奴はいっぱい居る。でもAが幸せにしたいのは1人しか居ないでしょ？」
蓮「…うん」
「その気持ちだけは嘘ついちゃダメだと思う。」
蓮「……めめは真っ直ぐやからそんなこと言えるんやんかぁ〜…」
「ちょ…！」
わーん！って泣き出すから、どうしていいか分かんなくなって。そのうちマネージャーが来て、メイクさんも来て。
なんでこんなことになってんの！？って驚かれた。
そんなに思い詰めるくらいならいっそのこと吐き出しちゃえば良いのに。なんて言ったら、それが出来たら苦労しない！って怒られるんだろうな。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年2月18日 13時
