きみしかいない 5 (ページ12)

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呪いと呼ぶには甘く切ないページ12

目黒side。

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誰のものにもならないで。
そんな呪いを、Aにかけた。

蓮「めめー…これとこれ、どっちが良いと思う？」

さっきから唸りながら携帯と睨めっこしているA。
今月末に控えてるうちの末っ子の成人祝いに悩んでいるらしい。

「Aが選んだ物ならなんでも喜ぶでしょ。あいつは。」

蓮「どうせやったらちゃんと使える物あげたいやんー…」

数日前。
ドームツアーの東京公演の合間にファンクラブ用の誕生日動画を撮った。キャッチボールをしながらラウールに1人ずつメッセージを言う中で、Aは自ら、今年はスペシャルなプレゼントあげるからね！ってハードルを上げたから今こうして苦しんでいる。

優しくて、俺たちのことが大好きな可愛いA。
誰か1人を選ぶなんて苦手だったはずなのにな。

「…ラウールの誕生日の前に康二の誕生日だよ」

蓮「…もちろん、覚えてるよ？」

Aとふっかさんが付き合ってないってことは、康二から聞いた。

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向「めめ…Aとふっかさん、ほんまは付き合うてないねんて」

「は、？」

ライブの後、車で来ていた康二に「乗ってく？」なんて聞かれて。何か話したいことでもあるんだろうなとは思ってたけど…衝撃の事実を聞かされたことは記憶に新しい。

向「…ふっかさん、俺がいつまでもウジウジしてるから、焚き付けてくれたんやと思う。
この前、風磨にも目ぇ覚まされて…」

「それってさ、牽制してる？俺のこと。」

性格上、回りくどいのは苦手で。
でも康二を責めたいとかそういうわけでもなくて。
こんな言い方したらナイーブな康二に変な気を遣わせてしまうかと思ったけど…

向「…せやで。せこいやろ？俺。
めめがAのこと好きなん気付いてて言うてる。
Aのこと諦めてくれたらええなと思って…」

テールランプに照らされる康二の表情は大人びていて。
こういう時、康二が歳上だってことを思い出す。

向「散々Aのこと苦しませてどのツラさげて…って感じやけどな」

そう言って康二は自虐的に笑った。
…康二ってやっぱりバカなんだ。
俺だって勉強は得意じゃないし、人のこと言えないけど…

「一番Aの涙を拭いてきたのも康二でしょ」

向「、めめ…」

Aのことは好きなんだと思う。
でも…康二のことも俺は好きだから。
だからって身を引こうとは思わないけど、2人が引き合う分には…邪魔する権利なんて誰にもないし。