風前の灯火 ページ7
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滝沢歌舞伎の余韻に浸る間も無く、次はドームツアーに向けて動き出している。
9人で過ごす時間が増えて嬉しい反面、どうしても言い出せないことがあって、…少し。困っている。
阿「どした？」
「ん？なにが？」
阿「こら。なんかあるくせに。誤魔化してるでしょ。」
「あう、痛ぁ…」
新曲のMV撮影の休憩中。
端っこのほうでぼんやり水を飲んでいると阿部ちゃんがやってきた。
ピシッて、阿部ちゃんの指に弾かれたおでこが若干ヒリヒリする。
阿部ちゃんの不調に1番に気付けるのは私だと自負しているけど、逆もまた然り。私のモヤモヤに真っ先に気付くのも阿部ちゃんだ。体調が悪いのとかは、ある程度隠せるんだけど。なんか悩んでんなーとか、そういう微妙な変化は感じ取れちゃうらしい。
阿「なに、言えないの？」
「んー…そんな大したことじゃないし」
阿「そう言っていつも大したことじゃん」
「そうやっけ？」
阿「怒るよ。」
「…」
事故以来、阿部ちゃんは少し厳しくなった。
なんでって聞いたら、「あの時、Aのこと助けてあげられなかったから。」って言うの。
もうあんな思いしたくないって。
絶対に阿部ちゃんのせいなんかじゃないのに、阿部ちゃんはずっと譲らへん。
「…ったから」
阿「え？」
「〜っ、ちょっと太っちゃったの！
やからダイエットしててお腹空いてんの！」
阿「はあ〜？」
「ほらー！しょーもないって顔するやん！」
阿「心配して損した。」
「だから大したことないって言うたやんかー！」
ラ「どしたのー？2人が喧嘩って珍しくない？」
阿「こんなの喧嘩にも入んないよ」
「阿部ちゃんが心配しすぎただけやん！」
呆れたように溜息をつく阿部ちゃんにキャンキャン吠えてみても阿部ちゃんにはノーダメージ。
ほんとに大したことなくて良かったけどね、と私の頭をひと撫でして、阿部ちゃんは不思議そうにしているラウちゃんとみんなのところに戻って行く。
また私だけの空間になった。
「…ごめんね」
楽しそうに談笑する2人の背中にポツリと呟いた。
ほんまのことは、言われへんねん。
ポケットの中でスマホが震える。
マネージャー例の物、処分しておきました
絶対に一人にならないでください
大きくひとつ息を吐いて、
「なーなー！次どこ撮るんやったっけ？」
誰にもなにも、バレないように。
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あむ(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます！少しずつお話進んで来てるのでお楽しみ頂けたら幸いです☻ (1月9日 12時) (
レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
さら - 更新たのしみにしてます！ (1月5日 0時) (レス) @page25 id: f3e4c7f7c3 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - あたりんさん» コメント気付かずお返事遅くなってしまいすみません！感想ありがとうございます☻不定期更新ですがお付き合い頂けましたら嬉しいです！ (11月5日 14時) (レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - とても面白いです！更新たのしみにしてます！ (10月23日 11時) (レス) @page7 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ
| 作成日時：2023年9月28日 1時
