・ ページ6
岩本side。
.
「春の踊りは、よぉーいやっ」
「「「さあーーっ！！」」」
最後の最後まで。
うちの泣き虫は美しく笑っていた。
誰かの為なら強くなれるAはカッコ良すぎて、女の子相手に悔しいけど、負けたくねえなって思う。
…でも俺達の前では強くならなくていいから。
.
蓮「うわーん！」
深「お嬢さんぶっさいく！」
蓮「ふっかさんひどぉい…」
楽屋に戻って来て一息ついて、私物を片付けているとやけに大人しいなと思っていたAがボタボタと机に水溜まりを作り始めて。声をあげて泣き出した。
舞台の上に立つ可憐な姿とは一変、
飾らない、強くない、ありのままの可愛い君。
深「んぁ〜…いい子だから一回泣き止みな？」
困り顔のふっかはグズグズ泣くAを膝に乗せてヨシヨシ、と背中を撫でてあやしてる。
子どもみたいに恥ずかしげもなく大泣きするもんだから、なんだなんだと人が集まってくんのは仕方ない。
佐「蓮野ーーーー！！」
渡「うはははっ おまえ泣きすぎ！」
宮「とりあえず鼻かみなさい？」
阿「ふっかの服がドロドロだね」
深「…まじ？まーしゃあねぇべ」
目「ほんとAに甘いよねふっかさん。」
ラ「Aちゃん、寂しいんだねぇ」
ふっかに揺りあやされるAの頭を優しく撫でるラウール。いつもなら「もう！ラウのくせに子ども扱いして！」って怒るAは今日はされるがまま。
向「…さっき泣いたら良かったのに。」
スッとAの目線の高さにしゃがんだ康二の瞳は少し潤んでいるようにも見えた。
向「ほんま、アホやなあ…」
蓮「だってぇ……」
呆れたように笑った康二だけど、その表情は誰が見たって慈愛に満ちていて。
ふっかの腕からすり抜けたAが康二の胸に飛び込んで、康二も当たり前みたいに受け止める。
深「なんか…振られた気分？」
佐「にゃははっ ご愁傷サマ〜」
蓮「私、ほんまは…寂しくて寂しくて堪らんの…」
康二の腕の中でポロンと零したAの本音。
途端にAが小さく見える。
向「大丈夫。…春はまだ、終わってへんし。
悲しい季節になんかさせへんから。」
蓮「…ほんま？」
向「ほんま。」
康二の言葉を聞いて、俺らの顔を見渡したAは、気が抜けたようにふにゃっと笑う。
みんな、康二とおんなじ顔をしてたから。
「来年も、その先も、俺たちが一緒にいるよ」
だから、安心して笑って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1919人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あむ(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます！少しずつお話進んで来てるのでお楽しみ頂けたら幸いです☻ (1月9日 12時) (
レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
さら - 更新たのしみにしてます！ (1月5日 0時) (レス) @page25 id: f3e4c7f7c3 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - あたりんさん» コメント気付かずお返事遅くなってしまいすみません！感想ありがとうございます☻不定期更新ですがお付き合い頂けましたら嬉しいです！ (11月5日 14時) (レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - とても面白いです！更新たのしみにしてます！ (10月23日 11時) (レス) @page7 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2023年9月28日 1時
