・ ページ23
.
ふっかさんに腰を痛めさせるわけにはいかへんから自分で歩いてベッドに潜り込む。…名探偵は諦めよ。
ふっかさんはそれを見届けてから、俺もお風呂借りんねーと寝室を出て行った。…ような気がする。
耳触りの良い声がまるで子守り唄のようで意識を手放すには持ってこいやったから…よく覚えてない。
.
「…？」
随分長く寝た気がするけど、まだ2時間くらいしか経って無かった。深くしっかり眠れたみたい。頭がスッキリしてる。
ベッドは1人分の温もりしかなくて、リビングを覗くとソファで体を小さくして寝息を立てるふっかさん。
いくら暖かくなって来たといえ夜はまだ少し冷えるのに。
「…ふっかさん」
深「…」
「風邪引いちゃう」
深「…」
体を軽く揺すってみるけど、眉間に皺を寄せただけで起きてくれへん。
こんなんしてたら結局腰痛くなっちゃうやん。
「なんでそんなに優しいん…？」
ソファの下にだらんと落ちた片腕。
羨ましいくらい細くて綺麗な指を握ってみる。
あったかい。
なんとなく、ふっかさんの小指と自分の小指を絡めてみた。
深「…なんの約束？」
「…起きてたん？」
深「んー…いま目、覚めた…」
ふっかさんは起き上がって背もたれに体を預けて座る。
小指は繋がったまま。
深「ずっと一緒にいれますよーに？」
「んふふ 居てくれる？」
深「そりゃあAちゃんが望むなら喜んで」
「………約束っていうか、赤い糸っていうか…」
深「へ？」
ふっかさんが目をまあるくしているのを見て、しまったと思う。頭スッキリしたと思ってたけど、まだ寝ぼけてたんかもしらん。余計なこと口走っちゃった。
深「…今のどういうこと？」
「いや……ふっかさんと繋がってる人は幸せやろうなと…思って……」
恥ずかしい。
なにを言うてんの私。
ふっかさんの目が見れへん。
そろーっとふっかさんの顔を見上げると反対の手で口元を覆ってて。耳まで真っ赤で。
俺のこと好きになっちゃった？とか、お嫁さんになるー？とか。いつもの軽い調子で返してくれるやろうと思ってたのに。
深「ごめ、」
そんな、りんごみたいな顔。
「っ…」
心臓がきゅってなった。
私のこんな些細な言葉ひとつで頬を染めて喜んでくれるふっかさんに。
深「…繋がってるかは分かんないけど、俺、Aのこと幸せにする自信あるよ？」
倒れ込んでくるみたいにふっかさんが私を抱き締めて。
バクバクとうるさく響く心臓の音は、どっちの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1919人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あむ(プロフ) - さらさん» コメントありがとうございます！少しずつお話進んで来てるのでお楽しみ頂けたら幸いです☻ (1月9日 12時) (
レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
さら - 更新たのしみにしてます！ (1月5日 0時) (レス) @page25 id: f3e4c7f7c3 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - あたりんさん» コメント気付かずお返事遅くなってしまいすみません！感想ありがとうございます☻不定期更新ですがお付き合い頂けましたら嬉しいです！ (11月5日 14時) (レス) id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - とても面白いです！更新たのしみにしてます！ (10月23日 11時) (レス) @page7 id: 8619ea3777 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2023年9月28日 1時
