ロスト･イン･ムーンライト(SK)

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ごはんを食べたあと、ソファーに深くもたれて腰掛けて、電車の中で見てたFacebookのページを眺める。


私の中にまだいる中学生の私が「中学生の時からつきあって、紆余曲折あって結婚なんてそんなドラマみたいな素敵なことが現実にあるの？どうして私は違うの？中学生の時の私は選ばれなかったってこと？ずるい」って言って実家の部屋で泣きながら膝を抱えてる。


ずるい、なんていうのは人を羨ましがる時に使う言葉じゃないんだよ、わかってる。

勝負じゃないってことも、わかってる。
その人がそれぞれに選ぶ人生は、勝ち負けなんかじゃない。

それでも、あなたは未来で勝ってるから大丈夫だよ、って話しかけて、ひとりぼっちみたいな気持ちで泣くその子の頭を際限なく撫でてやる。


私好みの、南欧風のインテリアで統一された部屋をぐるりと見回してから、左手の薬指の煌めきを見て、深呼吸する。

そうしてから、人差し指で、いいねをタップした。


おめでとう。勝ったのは、私だけど。





恵まれているな、と思う。
だって欲しかったものは、もうすべてこの手の中にある。


なのに、どうしてこんなに寂しいんだろう？



どうして、まだ帰るべきところが他にあるような心細い気持ちになるの？

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