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だから、ふと思いついたことを、ためらわずに聞いてみた。
「……加藤さんって、人見知りですか？」
「そうですが？何か？」
あ、笑った。
「何？急に」
「小さい頃からですか？」
「わかんない、覚えてないよ」
「人見知りの割に、私のことを初めから下の名前で呼んでくださってますよね？」
「何？急に！ダメ？苗字にします？」
「いえ、人見知りなのにそこは下の名前なんだ？みたいな、なんでもないんです、ちょっと言ってみただけで」
加藤さんは私の方を見ながら、可笑しそうに笑ってる。グーにした手は口元。
「だって、その苗字似合ってなくない？」
「ええっ」
「似合ってないよ」
「……初めて言われました……」
「ということは、周囲の人達に祝福された結婚だったのね」
加藤さんはそう言って、ポットに手をかけた。
注いでくれたお茶は、この前よりも深い紅だった。それでいて澄んだ色。
カップに6分目くらい注いでくれる。
ミルク入れる分かな、ってうれしくなる。
ミルクとお砂糖を入れて飲んだら、すごく美味しかった。
いつもと違う香り。
お花みたいな。
「俺も急なこと聞いていい？」
「……なんか意地悪なこと言われそうで嫌だな」
「何そのイメージ！」
加藤さんはまた笑う。
「Aさんって同世代だよね？」
「……加藤さんのプロフィール、ネットで見せていただいた際、私の方がひとつお姉さんだなって思いました」
「あ、そうなんだ」
へえ、ってちょっと目を丸くした。
どういう意味かな。
「Aさんって、生徒会とかにいなかった？」
「いいえ……嫌です、あんな目立つ仕事」
「学級委員は？」
「やったことありません」
「あれは？合唱の指揮者とかは？ちょっと男子〜みたいな」
「……ないです……でもそれは、ちょっと、やりたかった……」
音楽室の古いグランドピアノの前に座るさくちゃんとアイコンタクトを取ってから、さっと腕をあげる。
あの子になれたらと何度思っただろう。
「……なんでそんなこと聞くんですか？」
「なんとなく？Aさんに、ちょっと男子〜って怒られてみたいなって」
「……ちょっと男子〜」
「ダメだね、弱そう。可愛すぎ」
加藤さんがそう言って、またポットに手をかけた。
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きゃわのすけ(プロフ) - じぇにーさんのお話のゆったりと、じわじわと進む空気感がとても好きです。主人公の心の揺れる様を思いながら、同時に私の心も揺さぶられています。登場する書籍も既知のものだったので、今度読んでみたいと思いました。続きも楽しみにしています。 (2020年1月14日 1時) (
レス) id: d7bd95e595 (このIDを非表示/違反報告)
eRu(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています！私事ですが、実は占ツクで初めて読んだ作品が、じぇにーさんの『キャッチ・アンド・キス』で、物凄く｢シゲだー！｣と感動しました。これからも応援してます！Twitterをやっていない故、こちらから失礼します (2019年9月23日 19時) (レス) id: 2d1d6afcf3 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しています。いつもと違う不穏な、寂しい空気感が情景描写と相まってとても美しいな、と思いました！転がる岩のような2人のこれからの進展がとても楽しみです。 (2019年9月17日 0時) (レス) id: fc5ce059f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年9月15日 0時
