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しまった。
これじゃあ連絡しないわけにいかないじゃない。


紙袋を手に、慌てて仕事に戻った。



バタバタと一日を終えて、帰り道。

メッセージを考えてる間に着信いれた方が速い、と思って、加藤さんの番号をタップした。



思ってたよりもすぐ加藤さんが出て、自分がかけたくせに狼狽える。

お礼とお詫びを申し上げた。


「よかったです、気にせず飲んでください」
「申し訳ないです、加藤さんからお代も済んでますとのことで」
「取材料です。言ったでしょ、感想聞かせてほしいって」
「ええと、」
「いつならいい?今日は?今どこ?」


加藤さんがそう早口で言う。
今日?今から?って戸惑ったのは、電話口で加藤さんには伝わってなさそうだった。


「実は今煮詰まってて」


そう正直に話す声に、思わず頷いてしまった。
電話を切ってから、宏光に「遅くなる」って連絡した。すぐにちょっとふざけたスタンプが返ってくる。了解、って。



タワーマンションに着いて、部屋に上がったら、玄関で出迎えてくれたのは加藤さん一人じゃなかった。


黒いミニチュアシュナウザーが開いたドアの隙間から出る勢いで私の足にまとわりつく。


「ロイ!」

加藤さんがそう呼んだら、その子は名残惜しそうに私の足首のにおいをかいだあとリビングの方へ戻っていった。


「……加藤さん、わんちゃん飼ってらしたんですね?」
「そう、住んでる方の家にいつもはいるんだけど。今日はたまたま。犬、平気?」
「大好きです、小さい頃飼ってました。大きい子でしたけど」
「へえ」


靴を脱いで、加藤さんのあとについていく。

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設定タグ:NEWS , 加藤シゲアキ , じぇにー   
作品ジャンル:恋愛
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きゃわのすけ(プロフ) - じぇにーさんのお話のゆったりと、じわじわと進む空気感がとても好きです。主人公の心の揺れる様を思いながら、同時に私の心も揺さぶられています。登場する書籍も既知のものだったので、今度読んでみたいと思いました。続きも楽しみにしています。 (2020年1月14日 1時) (レス) id: d7bd95e595 (このIDを非表示/違反報告)
eRu(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!私事ですが、実は占ツクで初めて読んだ作品が、じぇにーさんの『キャッチ・アンド・キス』で、物凄く「シゲだー!」と感動しました。これからも応援してます!Twitterをやっていない故、こちらから失礼します (2019年9月23日 19時) (レス) id: 2d1d6afcf3 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しています。いつもと違う不穏な、寂しい空気感が情景描写と相まってとても美しいな、と思いました!転がる岩のような2人のこれからの進展がとても楽しみです。 (2019年9月17日 0時) (レス) id: fc5ce059f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2019年9月15日 0時

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