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ホワイトボードを強く握る彼は怯えているようだった。
通常の観測はつつがなく進んだため、この反応に対するマニュアルが無い。
｢大丈夫、君がこれからも快適に過ごす為の作業だ｣
[でも嫌や]
｢……困ったな。どういうところが嫌なんだ？｣
[笑わへん？]
｢ああ、何があっても他ならない君の感情だからね｣
[このままじゃ、声が出えへん俺が俺になってまう]
気に入っていたはずのホワイトボードがみしみしと軋み始める。
彼にとって唯一のコミュニケーションツールであるそれが、かえって彼の存在を定義し過ぎてしまっているらしい。
[聞いてくれへん、見てくれへん。思い出してもくれん]
｢｢我が身を通せよ｣？……気分が優れないのか？｣
[俺達はずっとずっと待ってるのに]
雑面越しに強い視線を感じる。
少年の姿をした人形は、少年ではなくアブノーマリティである。
超常存在との会話が成立しないことはままある事だが、一方的に吐き捨てられるのも珍しい。
｢……私が、悪いのか？｣
[悪くはないねんけどな、でもやっぱり悪いわ]
｢どういうことだ……くそ、お前達はいつも肝心なことを語る言葉を持たない！｣
[見いひんフリして、ずっと俺達のことを考えんように目逸らして]
観測をしていたのは私のはずだ。
だが現状はどう見ても私が観測されている。
いや、存在の定義としての観測ではなく存在の再構成とでも言おうか。
私自身が自分でも気づいていない、見落とした何かがあると彼は言う。
｢わたしは、なにも、しらないんだ｣
[虚構やで。アンタは何だって知ってる。あらゆる事実も、俺たちの名前も、存在も]
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志摩(プロフ) - H2Oさん» H2Oさん、閲覧ありがとうございます。アブノーマリティの設定はめちゃくちゃ悩んだので褒めて頂けて嬉しいです。更新頑張ります。 (2019年7月16日 8時) (
レス) id: 4b0ab5b92a (このIDを非表示/違反報告)
H2O(プロフ) - コメント失礼します。このパロディとても好きです。待っていました。各アブノーマリティの設定も凝っていて、読んでいて世界観に飲み込まれました。これからの更新楽しみにしております。 (2019年7月16日 7時) (レス) id: e433076a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年7月11日 0時
