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「……っ、わ、るい」
我に返ったのか私の手をぱっと離した。
私の手には綺麗に手の跡が赤く残っており、身体を起こしたコネシマが気遣わしげに再び手を取る。
「大丈夫、や、ないよな……こんな、赤くなって」
「骨までは行ってない。数分で引くものだから心配するな」
自分の制御が効かなかったことに動揺してか、彼の大きな身体は震えている。
チワワまでもが叱られた子犬のような顔でこちらを見上げてくる。
これがきっかけでエネルギー産出や作業に支障が出ても不都合だし、多少恥をしのんで機嫌を取る事にしよう。
「コネシマ、私は怒っている。ので、謝罪を求めよう」
「すまん、本当にすまん!お願い、お願いだから」
「ええいうるさいな、私は眠いんだ!」
私の言葉にキョトンとした顔を浮かべるコネシマ。
油断しきった人間1人後ろへ押し倒すくらい造作もないことである。
床に仰向けで倒れ込んだコネシマの横に並んで転がり、腕に素早く頭を乗せる。
さっき膝枕を要求された仕返しに腕枕をせがんでも怒られないだろう。
「おいで」
チワワを呼べば喜んで私とコネシマの間に飛び込んでくる。
外せない彼のリードは触ったところで何ともないことはとっくに実証されていた。
「……寝るん?」
「寝る。昨日は夜間に試練の制圧があって寝不足なんだ……」
「ああ、そういや騒がしかったな」
目を閉じればコネシマの大きな手が私の頭をそっと撫でていく。贖罪のつもりか、それともただあやしているだけなのかは彼にしか分からない。
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志摩(プロフ) - H2Oさん» H2Oさん、閲覧ありがとうございます。アブノーマリティの設定はめちゃくちゃ悩んだので褒めて頂けて嬉しいです。更新頑張ります。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 4b0ab5b92a (このIDを非表示/違反報告)
H2O(プロフ) - コメント失礼します。このパロディとても好きです。待っていました。各アブノーマリティの設定も凝っていて、読んでいて世界観に飲み込まれました。これからの更新楽しみにしております。 (2019年7月16日 7時) (レス) id: e433076a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志摩 | 作成日時:2019年7月11日 0時