｢粛清を待つ獣｣ ページ13
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あれから数日。
永遠の書架が私の入室時のみ距離に応じてエネルギー産出量が増加していることが判明したり、チワワの叫喚……もといコネシマとお喋りに興じるだけのある意味平穏な日々が続いていた。
(収容違反発生、｢粛清を待つ獣｣が教育部門収容室から教育部門メインルームに向けて逃走中。職員は鎮圧に向かってください)
｢またかあの豚ァ！！｣
『F-02-31-Tは愛らしい姿にデフォルメされた豚の姿をしている』
コントロール部門のメインルームで久方振りの休暇を噛み締めていた私の耳に届くのは今日で3度目の鎮圧指示だった。
さっき昼食を食べたばかりだと言うのに既に今日3度目だ、異常すぎる。
E.G.O保管庫からレティシアのライフルを持ち出すのももう3度目である。正直うんざりだ。
｢ここであったが3度目ｪ！覚悟しろ豚！！｣
｢フゴッ！？｣
長い直線の廊下を真っ直ぐ走ってくる愛らしい豚に容赦無く弾をぶち込み続ける。
やがて力尽きて倒れた豚は他の職員によって収容室に戻されて行った。
『彼は食肉用の養豚施設に突如出現し、民衆に愛された』
｢管理人！？あの豚どうなってるの！｣
(魅了の類をばらまいているらしく、愛着以外の作業が実施されていないようです)
｢はぁ〜！正義の強い職員は！｣
(変わらずです。セフィラの認知フィルタに近い強制力があります)
セフィラの認知フィルタ並っていったらもう抵抗出来るのは私くらいのものだ。
愛着作業で収容違反を起こすのに愛着しか出来ないとは、何とも面倒なヤツだ。
(職員A、｢粛清を待つ獣｣への抑圧作業を命じます)
｢次こそ収容違反しないといいな……！｣
『食肉用の養豚施設にいたが故に、彼は仲間たちと同じ結末を強く望んでいた』
メインルームの端末で簡単に情報を漁れば、なるほどただの死に損ないである。
人の都合で食肉加工されぬまま仲間を見送る日々は彼なりに思うところがあったのだろう。
まああの妙にデフォルメされた豚を食べたいかと言われればお断りだ。
『仲間たちが去りゆく中、とうとう彼は食肉となるため強硬手段に出る』
ここで資料は潰えている。
ここから先の調査はまだ進んでいないらしい。
ため息をついて収容室の扉に手を掛けた。
｢職員A、アブノーマリティF-02-31-Tの抑圧作業を開始｣
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志摩(プロフ) - H2Oさん» H2Oさん、閲覧ありがとうございます。アブノーマリティの設定はめちゃくちゃ悩んだので褒めて頂けて嬉しいです。更新頑張ります。 (2019年7月16日 8時) (
レス) id: 4b0ab5b92a (このIDを非表示/違反報告)
H2O(プロフ) - コメント失礼します。このパロディとても好きです。待っていました。各アブノーマリティの設定も凝っていて、読んでいて世界観に飲み込まれました。これからの更新楽しみにしております。 (2019年7月16日 7時) (レス) id: e433076a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年7月11日 0時
