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｢どうせどっかから聞いとるやろ。アイツ地獄耳やし｣
｢そうに決まってるめう〜｣
厳かに進む式はごく一般的なもので、2人は高そうな指輪を交換して誓のキスをする。身内のそういうシーンを見るのは少しばかりの恥ずかしさを呼んで、じわりと頬が熱を持つ。
これが終わったら形式的に……花束を投げるやつをやると言っていた。王城の演説用バルコニーから投げるため、城の前は大勢の花束狙いで溢れかえっているはずだ。
｢……ん？｣
不意に甘い香りがした。参列する女性達の人工的な香水ではなく、もっと心地良い花の香りだ。装飾に使われている花が急に香りを放つことなんてあるだろうか。
｢こ、れ｣
シャオロンにつられて天井を見上げると、そこにあるはずのステンドグラスを覆い尽くさんばかりの花が咲いていた。ひらひらと零れ落ちる花は紫とピンクのセットで、参列者の膝の上を埋めつくし始めた。
｢桔梗だ。……あの人割とこういうの好きだよね｣
花を摘んだひとらんらんがぼやく。視線の先にはお互いの手元に降ってきた桔梗を送り合う新郎新婦が居て、胸が暖かくなる。
｢永遠の愛、気品、清楚。確かにあの二人にはお似合いだ｣
Aらしいといえばらしいのだろう。彼女は言動に理由を付けたがる節があったし、墓に供える花にわざわざ花言葉を含めていたくらいだ。姿を現す気は無いのか、ひとしきり降った桔梗は何事も無かったかのように足元に散らばるばかりだった。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
