【d!】お願いのお願い番外編【軍パロ】 (ページ4)

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怪しい薬③ ページ4

フィーナ(仮)の腕をつついて気を引き、彼女が顔を上げた一瞬のうちに何とか飴を見せる。こちらは飴を知っていたらしく、訝しげな顔で俺と飴を見比べている。やがておずおずと手を出して俺から飴を受け取ると、不器用ながら紙を開いて口に含んだ。

｢美味しい？｣

赤く腫れた顔で必死に頷くフィーナ(仮)の可愛らしいこと。涙は相変わらず止まらないし、極力俺から離れようとしているけれど。怪我をして来たはずがとんでもない仕事を押し付けられたものだ。

｢ロボロくん、大変申し訳ないんだけどグルッペン総統に彼らの件を話して欲しいんだ……｣
｢え、くられ室長自分で……｣

遠くの執務机に隠れていたくられ室長が顔を出した瞬間に身体を強ばらせる2人。フィーナ(仮)に至ってはギャン泣きまで秒読みである。ああ、仮面怖いよな……。彼らが俺を呼ばざるをえなかった理由の一端を目にして、俺は自分の天が書かれた雑面を外した。顔が見えない大柄な成人男性なんて怖くて仕方なかっただろう。

｢行ってきますけど、後で覚えててくださいね｣
｢すまんなロボロ！｣

謝る彼らに後でどんな交換条件を突きつけようか思案しながら、彼女たちをどうやって総統室まで連れていくかを考える。フィーナ(仮)は雑面が取れて顔が見えるようになったことでいくらかはマシになったらしく、もう少しで泣き止んでくれそうだ。A(仮)は余程飴が美味しいらしく床につかない足をブラブラと遊ばせながら包み紙を弄っている。比較的歩いてくれそうなのはA(仮)かな。

｢よし、2人ともおにーさんとお出掛けせぇへん？｣

首を傾げるA(仮)。フィーナ(仮)は分かったのか、椅子から下りて歩いてくれそうだ。歩いてくれると言うならば歩いてもらおう、俺の体では2人を抱えるのは無理だし。大人しくしているA(仮)を抱え、フィーナ(仮)と手を繋いで俺達は医務室を後にした。