風邪魔女�� ページ13
｢ゾムー？いるならここ開けて｣
｢おん｣
ドアを叩くペ神を中に招き入れる。開け放たれた窓を見て顔を顰めていたが、多分後でお叱りを食らうことになるな。
｢うーんしんどそうだね。とりあえず水分取らせてちょっとでもお腹に入れないと｣
身体を起こして慣れた仕草でAに水を飲ませる手際は俺には無いもので、戦闘ばかりにうつつを抜かしてきた今までを少し後悔した。何にせよ手早く厨房から何か持ってこなくてはならない。病気の時って何がいいんだ。
｢しんぺい神さ……うお、ゾム｣
何を持ってきたらいいか聞くべきか否か逡巡していると急にドアが開き、ショッピくんが立っていた。脇には厨房から借りてきたであろうカートとお粥が乗っていて、ペ神が事前に連絡してくれたのかなんて思った。
｢……今日は書類やらんでいいです｣
｢え｣
｢はい、しんぺい神さんに食器とか預けて戻ってもらえばいいですから｣
仕事に戻るのかカートを廊下に置いたまますたすたと歩き去ってしまうショッピくん。このままにしておくわけにもいかず、カートは部屋の中に引き入れた。
｢あ、ショッピくん来てたの｣
｢置いてったけどな……休み貰ってしもたわ｣
｢あ〜ほら、弱ってる時って人肌恋しくならない？｣
記憶にある限り風邪を引いたことがない。ああ、でも怪我をして部屋に1人で休んでいた時に寂しかったのと似ているだろうか。
｢はい、場所代わって。脇の下から腕回して支えて……そうそう｣
お粥を食べさせるためにはぐにゃぐにゃになって意識も怪しいAを起こしておかなければならない。ペ神の指示通りに身体を滑り込ませれば先程背中を拭いた時とは段違いに安定した。これが専門技術……！
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月16日 1時
