【d!】お願いのお願い②【軍パロ】 (ページ44)

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事の顛末を聞き届けた。巻き込めとは言ったが、ここまで手に負えない事態になっているとは思わなかった。南方にある国から届いた突然の宣戦布告に伴って軍備の再構成を行い、一大天体ショーとして暁の果ての予報が出始めている。戦争の開始と暁の果ての予報がほぼ一致するのは果たして偶然だろうか。

｢……｣

息抜きにフィーナの顔でも見ようかと医務室に足を向ければ、先程部屋に返したAがフィーナに声を掛けているのがガラス越しに見えた。

｢A、フィーナは相変わらずか｣
｢そりゃもう｣

こればかりはAが如何に強力な魔女といえど時間に頼らざるを得ない。健やかに眠るフィーナは外界のことを何も知らないままだ。

｢俺達が、Aが倒れたら、フィーナは何も知らないまま死ぬのか｣
｢そうだね｣

珍しくAは疲れきった様子で極短い返ししかしてこない。正しく命からがらという状況で多くの同志を救い出し、救いきれない同志を容赦なく見捨てたストレスは計り知れない。

｢……蘇生には関係性を刻んだ心臓が必要だと言ったな｣
｢ああ、よく覚えている｣
｢フィーに限って言うならあの脅しは全くの嘘だ｣

ポツリと零したその言葉は聞き捨てならないものだった。驚いてAの横顔に視線を向ければ、彼女はフィーを見つめているだけだった。