【d!】お願いのお願い②【軍パロ】 (ページ23)

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｢お、そこのカップルは旅行かい？｣

ゾムさんが近くにいないせいで俺とAさんが恋人同士に見えたらしい。声を掛けてきたのは土産用の宝石を扱う店主だった。

｢半ば仕事といったところですので恋人ではありませんよ。……見事な細工ですね｣

バッサリ否定されたことで恋人らしく見えていたという喜びが霧散する。代わりに陳列された商品に目を向ければ、Aさんの言う通り見事な細工が施された宝石やアクセサリーが並んでいた。

｢何だ、指輪でも買って行ってもらおうと思ったのによ。まあ何かの縁だし見ていきな｣
｢ありがとう。そうさせてもらいます｣

雑面を付けた彼女に不気味さを感じた様子が一切ないあたり、何か細工をしてあるのだろう。店の奥へと向かうAさんのあとを追う。

｢……何か欲しいものでも？｣
｢いや、ただ凄いなと思って｣

視線の先には複雑な銀細工に深い青色の宝石がはめられたネックレスや、無数に光を反射して輝く色とりどりの宝石が並んでいる。

｢私の知る限り、魔法ではこういうものは作れない。各工程に細かい調整事項が多すぎて発動が間に合わないからな｣

手を上げるという簡単な動作も、魔法で行おうとすれば魔法を発動して手を上げることになる。工程が増えるのだ。